千葉大学は25日、インフルエンザの発症を未然に防ぐ効果があると注目されているシナモンを使用したマスクの基本設計を完了、実用化のめどが立ったことを発表した。

臨床試験の参加者募集ポスター

同マスクの研究代表者は、同大学院医学研究院 和漢診療学 並木隆雄准教授。インフルエンザの治療に用いる漢方薬にも含まれている桂皮(シナモン)を使用している。

経口投与ではなくマスクの装用を採用したのは、シナモンの香りの成分でもある「シンナムアルデヒド」に関して、口から飲用するよりも、適切な量を鼻や口から吸入する手段の方がインフルエンザ感染症に対してより高い予防効果を発揮することが発見されているため。呼吸器官の細胞内においてインフルエンザウイルスの増殖過程を阻害することにより、インエフルエンザウイルスの型種類に関係なく作用することが解明されているという。

本件について、予防医療の新たな可能性に向け、常磐植物化学研究所、三井化学ファインとの産学連携の共同開発を進める予定。同大学は、このマスクの開発によって、社会課題である「健康寿命の延伸」「QOL(生活の質)の向上」に貢献のみならず、従来型だけでなく新型インフルエンザウィルスに対しても予防対策となりうる応用可能性についても検証を進めていく。

なお、このマスクの商品化に向けて使い心地や副作用がないかを確認する目的で、臨床試験の参加者を募集している(募集人員50名、 平成29年3月までを予定)。被験者の条件や説明会の日程は和漢診療学講座Webページを参照のこと。来院時の交通費、駐車料金は各自負担。謝礼金はなし。