大阪大学(阪大) 産業科学研究所の菅沼克昭教授らの研究グループは、独自開発の銀粒子焼結により、次世代パワーエレクトロニクスの高性能3D配線を低コストに実現する技術を開発したと発表した。

菅沼研究室が開発した銀焼粒子結技術は、200℃程度の低温で銀粒子焼結が形成されることから、すでに次世代パワー半導体のダイアタッチ材料として欧州での実用化が進むなど、世界で開発が進められている。しかし、銀粒子が低温で焼結するメカニズムは良く分かっていなかったという。

今回、研究グループでは、そのメカニズムを200℃程度で大気中の酸素と反応しながらAg-O液体噴火することで金属焼結が進む「ナノ噴火現象」であることを確認したほか、基板に実装されたSiCダイの表面に、凹凸に応じた3D配線を安価な印刷法により形成し、250℃の低温で大気中無加圧で焼成することで5×10-6Ω・cmの低抵抗を実現したという。

この成果について研究グループでは、次世代パワー半導体のSiCやGaNの高性能ダイアタッチが可能になるだけでなく、低温かつ無負荷、低ノイズの3D配線を実現する技術として活用可能としており、次世代パワー半導体における低損失ながら大パワーの変換が可能となり、コンバータなどのさらなる小型化・省電力化につなげることが可能になると説明している。

銀粒子焼結により形成した3D配線(左)とリボンボンド(右)