BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会は、歌手・ASKAの逮捕報道で民放テレビ局がタクシーの車載映像を使用したことについて、審議対象としないことを決めた。23日、今月開かれた委員会の議事概要が公表された。

BPOの事務局が入る千代田放送会館=東京・紀尾井町

昨年11月、ASKAの逮捕報道において、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、フジテレビの4局がASKAの映るタクシーの車載映像を使用。これについて視聴者から「過剰報道ではないか」「プライバシー侵害だ」といった意見が多数寄せられた。

これを受け、各局からBPOに、使用判断の理由などについて報告書を提出。それによると、「相当程度公的な存在といえるASKA氏の逮捕直前の様子や言動を伝えることは重要で、公益性・公共性が高いと判断した」などと記述されていたという。

また、読売テレビ・日本テレビ系情報番組『情報ライブ ミヤネ屋』の11月28日の放送で、芸能レポーターの井上公造氏が、ASKAから提供されていた未公開曲の音声を約1分間放送したが、これについて制作の読売テレビは「著作権の問題はあるものの、ASKA氏の音楽活動の紹介として報道的にも意味があると判断した」と説明しているという。

これを踏まえ、委員会ではテレビ局に対して厳しい意見も出たものの、審議の対象としないことを決定。「問題点はあるものの、各局の報道内容について公益性も否定できない以上、一概に放送倫理違反を問うことは難しい」「ASKA氏が既に釈放されていて、本人のブログ上で『法的手段を進めている』と公表している」とし、各局に注意喚起するとしている。