写真 開発されたヘッドホン型ワイヤレス脳波センサー(大阪大学、JST提供)

楽曲を聴いた時の脳波を測定して脳を活性化する曲を自動作曲する人工知能(AI)を大阪大学と東京都市大学などの研究グループが開発した。将来的には、音楽を利用して個人のメンタル状態を活性化させることも可能なシステム開発につながると期待される。大阪大学などがこのほど発表した。

大阪大学産業科学研究所の沼尾正行(ぬまお まさゆき)教授と、東京都市大学メディア情報学部の大谷紀子(おおたに のりこ)教授らの共同研究グループは、ベルギーの研究機関などと共同でヘッドホン型ワイヤレス脳波センサーを開発。このセンサーを使って実験参加者にさまざまな楽曲を聴いてもらい脳波の変化などを調べた。この変化などをAIに機械学習させ、参加者のメンタル状態を活性化できるオリジナルな楽曲を自動作曲させることに成功したという。

研究グループによると、これまでのAIによる自動作曲は、曲の特徴を細かく指定する必要があったが、今回開発されたAIは楽曲と脳波の関係を機械学習でき、指定なしで作曲が可能になったという。

開発したAIを活用してオーダーメードの作曲ができるようになったことから、研究グループは音楽療法のほか、ゲームなどのエンターテインメントやスポーツなど広い分野での応用も将来的に可能になる、としている。

研究成果は東京ビッグサイト(東京都江東区)で18日から20日まで開催された「第3回ウェアラブルEXPO5)」で公開された。この研究は、科学技術振興機構(JST)の「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援により行われた。

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