大日本印刷(DNP)は1月18日、射出成形と同時にその熱圧を利用して樹脂成形品と加飾フィルムを貼り合わせる射出成形加工(同時加飾成形加工)において、表面の凹凸(テクスチャー)で、さまざまな触感を付与できる新型の加飾フィルムを開発したと発表した。

これまで、同時加飾成形加工では、熱と圧力によって加飾フィルムが金型に押し付けられるため、表面に形成されたテクスチャーが消えてしまい、触感を得るのが難しかった。触感を付与する加工法には、樹脂成形品ができた後に大きな熱圧をかけずに加飾する真空圧空成形があるが、自動車の内装材ではコスト面で優れる同時加飾成形加工が主流となっている。

今回開発した新型フィルムでは、フィルム構成を見直し、熱圧を吸収する保護層を設けることにより、同時加飾成形の加工後でも表面のテクスチャーを維持し、触感を付与することが可能。また、金型でテクスチャーを成形する方法と比較して、加飾フィルムを変えることでさまざまなパターンのテクスチャーを付与でき、柄の自由度も向上するとしている。

DNPは、今回開発した加飾フィルムを、自動車やバス、航空機などのモビリティ向けに販売し、2020年度に年間50億円の売上を目指すとしている。

新型加飾フィルム

成形工程において、熱と圧力を加飾フィルム表面の保護層が吸収し、成形後に表面保護層を除去することで、フィルム表面の凹凸を維持した成形品が完成する