歌手で女優の斉藤由貴(50)が、昨年12月12日~19日に約1年ぶりの単独ライブとなる「X'mas live 2016」を開催し、デビュー曲「卒業」を含む全13曲を披露。ビルボードライブ大阪での最終公演では、ハイレゾ収録が実施された。これにはある思いと狙いがあった。

「X'mas live 2016」で歌声を披露する斉藤由貴

近年頻繁に耳にするようになった「ハイレゾ」。正式名称「ハイレゾリューション」は高解像度を意味し、CDよりも情報量が多く、スタジオで録音したマスター音源により近いことから、アーティストの息遣いや演奏がクリアに伝わるのが特徴だ。今回のライブ音源は、13曲のうち8曲をヤマハミュージックメディアが運営するスマートフォン向け音楽配信サービス「mysound」で独占配信。担当者が経緯を明かす。

「斎藤由貴さんの知名度、ファン層の広さも決め手になりました。昔好きだった方は現在40~50代、中にはオーディオにこだわる方もいらっしゃると思います。また、昨今のCM出演で若い世代にも注目を集める存在となっております。そして、グループ会社のヤマハミュージックコミュニケーションズよりCDをリリースさせていただいており、また、約1年振りの単独ライブをされるというお話を頂き、タイミング的にもベストで今回の取り組みを実施させて頂きました」

日本レコード協会が男女2014人(16~69歳)を対象に行なった実態調査(2015年9月)によると、ハイレゾの認知度は約50%で、利用意向率は約19.4%にとどまった。一方で、GfKジャパンが昨年12月に発表した「ハイレゾ音源ダウンロード市場レポート」では、ダウンロード数が2014年の2倍超という結果に。市場規模が拡大する中で、一般リスナーの獲得が今後の鍵となる。

「ハイレゾを手軽に体感頂くために二つの課題をクリアしました。『環境』と『音源』の提供です。ハイレゾは視聴環境に大きく左右されます。現在流通しているスマートフォンの約半数がハイレゾファイルを再生できない仕様となっております。我々が提供する無料の音楽再生アプリ『mysoundプレーヤー』を使えばどのスマートフォンでもハイレゾ音源の再生が可能になります。また、ハイレゾ音源の豊さを実感していただくには、まず体験してもらう事が重要と考えております。そして、どの音源を購入したら良いかわからないのも一般リスナーの悩みとなっているかと思います。弊社サービスでは無料のサンプル音源を用意しておりmysoundプレーヤーで簡単にダウンロード~再生が行えます」(前出・担当者)

「アーティストが楽曲に込める『想い』というものをよりピュアに伝えて行きたい」という同担当者。一昨年、デビュー30周年記念コンサートで「デビューから30年経って、今の私にしかできない表現もある」と語っていた斉藤の思いもリスナーに届ける。