年齢を重ねると病院に通ったり、入院したりする機会も増えてくる

老いることに逆らえる人間はいない。年齢を重ねていくと、体力も衰えて病気やけがもしやすくなる。人によっては、病院や介護施設のお世話になる機会も増えてくるだろう。そうなると、どうしてもお金がかさんでくるが、近年は所得の多寡による「健康格差」も問題視されている。働けるうちに老後に備えてしっかりと蓄えておくことの重要性が、今後はますます高まっていくだろう。

今回、40代および50代のマイナビニュース会員301名に老後資金を蓄えているか調査したところ、163名が「既に貯金している」と回答してくれた。今回はこの163名が回答してくれた「老後資金を始めた理由」のトップ3を詳細に紹介する。

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Q. 現在、老後(65歳以降)のための資金を貯金していますか?

はい: 54.2%
いいえ: 45.8%

Q. 「はい」と答えた方にお聞きします。老後資金を貯め始めた理由としてもっともふさわしいものを教えてください

1位: 将来、年金や退職金だけでは健康的な生活ができないと考えているため(60.1%)
2位: 将来、自分が重篤な病気やケガをした場合に備えて(19.6%)
3位: 将来、自分が介護が必要になった場合に備えて(9.8%)
4位: 自分の親に介護が必要になった場合に備えて(4.3%)
5位: 定年退職後もローンの支払いなどがあるため(2.5%)

■将来、年金や退職金だけでは健康的な生活ができないと考えているため
・「母親は早くに亡くなり、父親は64歳で認知症になり介護が必要に。自分は子供に迷惑はかけたくないと思います」(41歳女性/その他/その他)
・「老後でも何かと出費がかさむので。健康に関しても、いつ何があってもおかしくないので」(50歳男性/建設コンサルタント/建築・土木関連技術職)
・「夫婦共に虚弱体質なため、何があるか分からないから。何もなければ、子供に渡せる」(45歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「有料老人ホームに入居する余裕はないので、病気やケガをしないことで無駄な出費を抑える。外食や旅行はできるだけ安い範囲で楽しみながら、ほそぼそとひっそりと生きていきたい」(56歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「両親の介護など、予測不能な部分に対しては過剰な計算を行わず、現時点での不足分を試算し、補うという考え方で貯蓄額を決定しました」(42歳男性/精密機器/技能工・運輸・設備関連)
・「生活も楽しみたいし、万一に備えて入院費用や介護のためのお金も残しておきたい」(58歳女性/その他/その他)

■将来、自分が重篤な病気やケガをした場合に備えて
・「重篤な病気やケガは誰にでも起こりうることなので」(46歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「仕事仲間の60代の人がガンになり、貯金を使い果たしすごくお金に困っていたから」(45歳男性/放送・新聞/営業関連)
・「生命保険にも年齢制限があるので、数年間でも不測の事態に備えたい」(40歳男性/その他/その他)
・「最近、白内障の手術をしたばかりだが、ガンなどの重病だとさまざまな面で大変だと感じたから」(43歳男性/その他/その他)

■将来、自分が介護が必要になった場合に備えて
・「親が高齢でお金が掛かるようになり、自分もそういうときが来るので心配になり始め、きちんと計画的に貯蓄しなければならないと思うようになりました」(58歳女性/医療用機器・医療関連/専門サービス関連)
・「満足のいかない介護で惨めな生活はしたくないので」(54歳女性/その他/その他)
・「自分が介護が必要になったら周りに迷惑がかかるから」(54歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「身内が特別養護老人ホームに入居したのでお金が必要だと思ったから」(49歳男性/設計/建築・土木関連技術職)

■総評

結果は「将来、年金や退職金だけでは健康的な生活ができないと考えているため」が6割を超えてダントツとなった。老後資金を形成し始めた「最も強い理由」を調べるべく、今回は選択肢が一つしか選べない「単数回答」方式で質問をしてみたわけだが、実に5人に3人が将来の年金制度や退職金に不安を抱いていることが明らかになった。

日本年金機構によると、平成28年4月からの国民年金(老齢基礎年金)の満額は年間で78万100円。これだけで毎日の暮らしと有事の際の医療費・介護費をまかなうのは難しい。この金額に厚生年金などをどれだけ上積みできるかにもよるが、毎日3食をきちんと食べられ、運動や旅行などの活動的な時間を楽しむといった「健康的な生活」を送るためには、しっかりと資金を貯めておくことが重要と考えているようだ。

2位は「将来、自分が重篤な病気やケガをした場合に備えて」がランクイン。「誰も面倒を見てくれる人がいないので」「ずっと独身で過ごしたいため」といった回答が見られた。3位には「将来、自分が介護が必要になった場合に備えて」が入った。特に40代・50代は自身の親に介護が必要になってくる年代にさしかかってくる。それだけに、医療費や介護費が膨れ上がっていく現実を目の当たりにし、自分たちも備え始めたと回答する人も散見された。

多くの会社員は60歳で定年退職を迎え、お金を稼ぐすべを無くすのが一般的だ。厚生労働省によると、日本人の平均寿命は男女共に80歳を超えている。定年から天寿を全うするまで20年間あると仮定した場合、毎月の生活費が10万円ならば10万円×12×20で2,400万円が必要な計算になる。医療費や介護費がかさんできたら、生きるために必要なお金はさらに膨れ上がると考えられる。若いうちから、きちんと老後に対するビジョンを持っておくことが大切なようだ。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2016年12月21日
調査対象: 40代と50代のマイナビニュース会員
調査数: 301名(男性221名 女性80名)
調査方法: インターネットログイン式アンケート