宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月11日、技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)「きく8号」の停波作業を1月10日15時25分に実施し、運用を終了したことを発表した。

「きく8号」は2006年12月18日にH-IIAロケット11号機によって打ち上げられた技術試験衛星で、携帯電話やモバイル機器など通信需要の増大へ対応することを目的としたもの。3年間のミッション期間を超えて運用を継続しており、昨年12月18日には、バス設計寿命である10年間も経過していた。その後、衛星の姿勢・軌道制御に使用する燃料が残り少なくなっていることから、JAXAは運用終了に向けた作業を進めており、1月10日をもって運用を終了した。

東日本大震災後、JAXAは災害対策支援として大船渡市役所に「きく8号」の地上アンテナと可搬型通信実験用端末を設置し、大船渡市役所-筑波宇宙センター間において、「きく8号」による最大768Kbpsの衛星通信回線を接続した。可搬型通信実験用端末は移動・設置が容易であることから、避難所等からのインターネットによる情報発信も可能となった。

技術試験衛星VIII型「きく8号」 (C) JAXA