デロイト トーマツグループのトーマツ ベンチャーサポート(TVS)は12月26日、金融機関を対象としたFinTech領域における新規事業創出支援を開始した。

FinTechは、大企業や金融機関が独自のビジネスプロセスを組み立て、必要な機能を絞り込み、課題解決のため、広く社外にパートナー企業を求めつつ自社で推進する必要があるという。新サービスではTVSが、FinTechにおけるアイデア出しから実運用まで、事業全体のコンサルティングサービスを提供し、一気通貫でサポートする。

新サービスは「Idea input」「Strategy」「Planning」「Legal/System/Business」「POC(Proof of Concept:有効性の実証)」「Operation」の6つを提供する。

Idea inputは国内外のFinTechトレンドから、新規事業アイデアのインプットを行うほか、Strategyでは、なぜ自社で実施すべきなのか、どのようなビジネススキームで実施すべきかの検討を支援。

Planningについては、いかに実施すべきか、事業計画書・投資計画の作成支援を行い、投資に関する社内稟議への支援を行う。

Legal/System/Businessに関しては法務面の整備、システム導入、事業化に向け、必要な弁護士、ベンチャー企業、大企業といった社外のプロフェッショナルや、デロイト トーマツグループの専門家との協業を進めるため、TVSのネットワークから適切な協業先を紹介する。

POCでは、実施に際して注意すべき点、検証すべき内容を洗い出し、円滑なPOCの実施に向けて支援することに加え、Operationでは実運用に際しての具体的なオペレーションの設計支援を行うとしている。

FinTech領域での新規事業創出支援の流れ

主なサービスメニューとして「ビッグデータ与信モデルの構築」「地域通貨の電子化」「目的貯金および資産運用の新サービス創出」をそろえる。

ビッグデータ与信モデルの構築支援では、これまで多くの金融機関における与信モデルではリスクが高いと見なされ貸付不能だった顧客(個人および法人)について、許容範囲のリスクと見なされる顧客を見出す与信モデルの構築を支援する。

審査にあたり、既存の信用情報に加え、ビッグデータから導出される新しい情報の活用により、顧客の信用情報の細分化を行い、貸付可能な潜在顧客の開拓を可能とする。実現したい与信モデルの構築を行った上で「データ収集」から「データ分析」「与信モデル構築」「融資」と4つのビジネスプロセスをつなぐ必要があるため、TVSはそれらのビジネスモデルの構築およびプロセスごとに必要なパートナー選定を支援する。

地域通貨の電子化支援は、既存の地域通貨の大部分は紙で運用されているため、運用における事務負荷が課題となっているため、地域通貨にブロックチェーンやスマートフォン上の電子ウォレットなどの新しい技術を活用した電子化を支援。これにより、運用負荷を低減させるだけでなく、加盟店舗が負担する手数料を抑えたうえで運用できる地域通貨が可能になるという。

目的貯金および資産運用の新サービス創出支援については、ライフプランニング、PFM(Personal Financial Management)、およびロボアドバイザーを融合させた新サービスの開発をサポート。

現状では、いつまでに、どれだけの金額を貯蓄したいという顧客の要望に対し、適切な資産運用を紹介するライフプランニングは、金融機関の窓口業務で実施されるのが一般的となっている。今回、オンラインでの新しい技術を用いたサービスと組み合わせることにより、スマートフォン上で実現する新規事業を創出していく。