Hotels.comと未来学者ジェームズ・カントン博士はこのほど、2060年とその先の未来のホテルを予想する「Hotels.com ホテル未来予測レポート」を発表した。

同レポートは、Hotels.comがブランド設立25周年を迎えたことを記念し、消費者動向を分析する研究機関Institute for Global Futures(IGF)の未来学者ジェームズ・カントン博士の協力の下に作成。1年後、25年後、さらに西暦2060年の旅のスタイル、ホテルステイを予測するものとなる。

「ロボ バトラー」が、ホテルで過ごす時間をより有意義で快適なものに

同レポートで紹介されている、先進的なテクノロジーと科学が融合した「2060年までに起こる未来のホテルトレンド予測」Top13は以下の通り。

1.「ロボ バトラー」
宿泊者の到着前にオンラインでデザインされる自立型ロボット。特別な才能や技術、言語能力、知識を備えたロボットのバトラーが、ホテルで過ごす時間をより有意義で快適なものにする。空港への出迎えから、シェフ並みの料理サービス、客室の清掃、話し相手、教育、エンターテイメント、ビジネスに関するアドバイス、コンシェルジュサービスなど、ありとあらゆるリクエストに応えてくれるという。

2.「オーダーメイドのモーフィング ホテル」
消費者トレンドを反映して、自在に形を変える次世代のオーダーメイド型ホテル。クラウドソーシングによるホテルは、ナノテクノロジーと機械を利用し、 環境、建物、さらに物理的な世界まで自ら創り上げることが可能となる。今後20年のうちに実現する、としている。

消費者トレンドを反映して、自在に形を変える「オーダーメイドのモーフィング ホテル」

3.「客室に3Dメーカーを完備」
全客室3Dメーカー(3Dプリンター)完備は常識になるという。この設備が、旅のスタイルも客室での過ごし方も、現在とはまったく異なるものに変える日が来ることが予測される。3Dメーカーは宿泊者が望むものをリアルタイムで作り出してくれ、重い荷物を持ち歩く旅は過去のものとなる。

「客室に3Dメーカーを完備」で、重い荷物を持ち歩く旅は過去のものに

4.「ニューロ ドリーミング」
脳科学の研究の成果を活用した技術による夢のプログラミングができるホテルでは、リラックス、学習、娯楽などテーマ別に夢の種類を選択することができる。眠りにつく前に見たい夢を設定。ロマンチックアドベンチャーや宇宙旅行の夢を見ることも可能となる。

好みの夢を選べる「ニューロ ドリーミング」で、快適な睡眠の概念が刷新

5.「クラウドソーシングに基づくポップアップ ホテル」
次世代型ポップアップホテル(期間限定ホテル)は、モバイル クラウドソーシングを活用したものに変わり、ホテルのテーマやロケーションは投票により決定する。最多投票数を獲得したホテルのデザインは、3Dプリンターから、バイオソーラー組織と未来のナノテクノロジーを使って創り出される。一定期間のみオープンし、消費者はウェアラブルモバイルアプリから仮想通貨Hotel Coinにより宿泊料を支払う。

「クラウドソーシングに基づくポップアップ ホテル」のテーマやロケーションは投票で決定

6.「ウェルネス & アンチエイジング スパ」
未来のスパは、想像以上に素晴らしいものに。DNA分析を活用し、アンチエイジングを売り物にするのがホテル・スパの次なるトレンドとなる。健康状態や将来の健康リスクなどの詳細な顧客データに基づき、パーソナルなトリートメントや予防、健康向上プログラムを提供する。

「ウェルネス & アンチエイジング スパ」では気分をリフレッシュしてくれる薬、脳トレーニング、予防医療など提供

7.「未来の空港送迎サービス」
空港からホテルまでの未来の交通手段は、ハイテクかつハイスピードに。ドライバーが必要ないセルフドライビング ポッド(自動運転車)やロボットが操縦してくれるロボフライングカーで、渋滞知らずを実現。また次世代交通システムのハイパーループが、わずか数秒で何百キロ先まで移動できる超音速飛行を実現してくれるかもしれない。

空港からホテルまでは「未来の空港送迎サービス」で快適に

DNA指紋鑑定で身分を証明すれば完了の「DNA モバイル決済」

8.「DNA モバイル決済」
DNAは究極の身分証明書となり、オンライン予約や決済に遺伝子情報が使われる日もやってくる。ホテルでのチェックイン手続きは、DNA指紋鑑定で身分を証明すれば完了。混雑時、フロントの前で順番を待つ必要もなくなる。

9.「トラベル アバター」
自分自身の分身であるトラベルアバターが、本人に代わって希望やニーズにあった旅をアレンジ。検索から計画、予約にいたるまでのあらゆる旅の手続きを代行してくれ、デジタル旅行エージェントのように働いてくれる。アバターはコミュニケーションを取ることや、交渉することも可能。旅のすべてをデザインし、究極のカスタマーサービス能力を発揮するという。

旅の予約は、自分自身の分身である「トラベル アバター」にお任せ

最新の太陽光と地熱発電技術を採用し、二酸化炭素を排出しない「エコ ホテルの新時代」

10.「エコ ホテルの新時代」
すでに多くのホテルが環境にやさしい運営を行っているが、将来は、すべてのホテルが完全に持続可能なホテルになるという。エネルギーを有効活用し、再生可能エネルギーを売買し、安全でクリーンな製品のみを使用。エコホテルは社会意識が高く、提供するサービスもスタッフも社会に対しポジティブな影響を与える存在となる。

11.「拡張現実ホテル(AR)」
将来、旅行者は、現実世界とバーチャルが融合するホテルに宿泊することになる。バーチャル・リアリティーが仮想世界であるのに対し、拡張現実は現実世界とバーチャル・リアリティーが融合した世界で、アフリカやペルーのマチュピチュへのエクスカーションなど数百万ものシナリオが可能となる。滞在ホテルの周辺を観光するだけだったこれまでの旅と異なり、これまでにないファンタジーの世界へ足を踏み入れることができる。

「拡張現実ホテル(AR)」で、究極の冒険旅行、歴史探訪、ドラマチックな旅をカスタマイズ

12.「ホテル レストランのグルメ ゲノミクス」
DNA分析からゲストの嗜好を特定し、レシピやメニューを作成する。ホテルのレストランは、予約者のDNA情報を元に、それぞれの健康状態にふさわしいレシピやメニューをデザイン。栄養バランスを考えた、体調改善や体力増強につながる食事を堪能することができる。味においても妥協せず、一流シェフが各顧客のためにアイディアを凝らしたデザイナーフードを、カロリーや食事制限を気にすることなく味わえる。

DNA分析からゲストの嗜好を特定し、レシピやメニューを作成する「ホテル レストランのグルメ ゲノミクス」

13.「没入型テーマ ホテル」
未来のホテルは、没入型仮想環境に基づくテーマが特徴となり、現在では空想の世界にしか存在しないようなエンターテインメントの場となる。宿泊者は、テーマを投影したインタラクティブでライブ感あふれる環境を経験。仮想現実のなかでリアルタイムの対話や交流を体験することができるという。例えば戦争をテーマにしたゲーム『コール オブ デューティ』をテーマにするホテルでは、ネットワークに接続したホテル間で戦うことが可能。あるいは「古代ローマ」をテーマにするホテルなら二輪馬車のレースに参加できる。「ルネサンス」テーマのホテルでは、衣装や特注のアンドロイド、シナリオ、アクションなどが用意されているかもしれない。

テーマを投影したインタラクティブでライブ感あふれる「没入型テーマ ホテル」

また、2060年になる頃には、ホテル客室内も大きく変わっていることが予測される。未来のスマートホテルの客室は、あらゆる面で徹底的にパーソナル、スマート、ハイテクになっていると思われる。

例えば、ルームキーに替わる顔認証システム。宿泊者の好みやニーズに対応する複数のセンサー。会話するテレビ。タッチ操作、応答、対話機能付きサーフェス。スマートトイレ。ライブニュースをストリーミングして映し出すバスルームの鏡。ストレスレベルを感知し、神経学に基づくアロマが香り、利用者を心地よい睡眠へ導入するインタラクティブなスパの壁。汚れを除去するナノコーティングされたタオル。室温を自動調整できるワイヤレス空調設備。宿泊者のために自動的に組立てられるベッドと、神経科学に基づいて選択された枕。ホログラフィック音楽のコンサートなど宿泊者の嗜好に合わせたインルームエンターテイメントなどが考えられるという。