独立系半導体ナノテク研究機関のベルギーimecとオランダの姉妹機関Holst Centreは共同で、流体中のpHと塩化物イオンレベルを同時に測定する小型センサを開発したと発表した。

環境モニタリング、精密農業(プレシジョン・アグリカルチャー)、個人向け健康診断などで長期的に正確に測定する目的で開発されたもので、他のイオンも要望があれば対応を図っていくという。システムLSI(SoC)としてセンシングに必要な機能をすべて集積したワイヤレス・マルチセンサは初めてのものとなると研究チームでは説明しており、IoTシステムに組み込むことでコスト効率を高めることができるようになるとしている。

特に、シリコン基板上に固体イリジウム酸化物(IrOx)電極と塩化銀(AgCl)電極を配置することで、長期的な測定値のドリフトを押さえることができるため、従来品より安価に製造できるとしている。

imecのHolst Centre駐在センサ開発担当ディレクターのJohn Baekelmans氏は「我々は、Holst CentreでIoT向けセンサと分析手法を開発しているが、今回公表したマルチイオンセンサはその一連の開発成果の1つである。今後とも、センサ業界をリードする開発パートナーと協業して、ワイヤレスかつエネルギー効率を最適化した、小型で量産可能なセンサをSoCとして実用化していく」と述べている。

なお、同センサ技術の詳細は、2016年12月に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された半導体デバイス技術の国際会議「2016 IEEE International Electron Devices Meeting(2016 IEDM)」で発表された。

今回開発されたワイヤレスマルチイオンセンサのイメージ