米Packetは12月16日、都内で記者会見を開き、「ARMv8-A」アーキテクチャを用いたベアメタルクラウドサービス「Type 2Aサーバー」の提供開始を発表した。同社は、サービスの提供開始に伴い、東京データセンターならびに東京オフィスを開設し、日本を拠点としてアジア各国へ事業を展開する。同社に出資するソフトバンクは、今回の日本市場への事業展開を全面的に支援していくという。提供価格は85円/時間。

「ARMサーバ」

冒頭、Packet CEOのZachary Smith氏は「AWSなどのパブリッククラウドとどこが違うのか、われわれのビジョンとしてオートメーションはOSに存在すると信じており、つまり固有のハイパーバイザーや特定のクラウドに縛られることなく、マルチテナンシーに頼らずにわれわれのオートメーションで達成できる。VMware、Dockerなどを従来と同様に使いこなせるほか、将来的には自社やユーザーのデータセンター、エッジのモバイルでも可能にしていく」と述べた。

Packet CEOのZachary Smith氏

新サービスについて同氏は「インテルが有するクラウドと遜色ないARMのクラウドエクスペリエンスを提供することから、複数の要件を設定した。まずは価格破壊が挙げられ、単に従来と比べて10%安いことや、20%速くなるということだけでは不足しているため、新サービスの価格は従来比10分の1に抑えた。また、どこでも使えることができ、10分以内で世界中どこにいても導入を可能としている。そして、どのようなものでも動作を可能とし、われわれは過去11カ月で、さまざまなエコシステムを検証した。われわれのゴールは日本を最先端のARMコンピューティングマーケットにしたいと考えている」と優位性を訴えた。

新サービスの特徴は、法人のニーズに対し好きな時に好きなだけ専用の物理サーバーを利用できる点や、専用サイトからの申し込みから10分以内にユーザーの専用サーバーの構築が可能。従来は構築まで1週間程度を要していた通常のクラウドサービスよりも迅速に利用できる点だという。

ユーザーには迅速かつオンデマンドで利用できるため「短時間で高性能なサーバー環境でインターネットコンテンツの稼働テストをしたい」「ある期間限定のキャンペーン実施の際のプラットフォーム構築を速やかに実現したい」などのスピードと品質が要求されるビジネスに対し、効率の向上が図れる。

また、日本市場で提供を開始するベアメタルクラウドサービスには、英ARMのライセンス製品であるARMv8-Aアーキテクチャが搭載されたサーバーを導入。同サーバーは、64bitのARMサーバーであり、Cavium製の2つの48コアThunderX プロセッサを使用している。これらのサーバー群でシステム構成することで省電力と省スペースが実現。

Smith氏は「シングルプロセッサのアーキテクチャの時代が長すぎた結果、競争・イノベーションが少なかったほか、シングルベンダーのエコシステムなどは特にソフトウェアの開発に関しては代替案がないことから限定的なものだった。そして、モバイル、ゲーム、インテリジェントマシン、IoTの革命という形で従来から状況は変化しつつあり、エコシステムも競争が激化している。これまではAndoroid向けのソフトウェアをはじめ多くのサービスが投入されたが、今やARMに対して最適化したサービスも存在する」と説明した。

なお、PacketではType 2Aサーバーを提供するとともに、即時利用可能で拡張性に優れたベアメタルクラウドプラットフォームをIPv6ネイティブなネットワークとともに初めてアジア地域へ拡張し、提供を開始する。今後、ARMv8-Aは、DockerやKubernetes、MesosなどクラウドネイティブやIoTでの利用を想定しているほか、利便性を高めるためRedHat、Ubuntu、CoreOSおよびFreeBSDの各オペレーティングシステムの64-bit ARMサポートを計画している。

左からソフトバンク 専務取締役のエリック・ガン氏、Smith氏