米国空軍は12月14日(現地時間)、50年前に製造された大陸間弾道ミサイル「ミニットマンII」の固体ロケット・モーターの地上燃焼試験に成功したと発表した。固体ロケットの老朽化の度合いや、性能などを確認するために行われたもので、同時期に製造されたほかのミサイルが、まだ打ち上げ可能なことが実証されたとしている。

50年前に製造された、ミニットマンIIミサイルの固体ロケット・モーターの燃焼試験の様子(1) (C) Los Angeles Air Force Base

燃焼試験は2カ月前の10月13日に、ユタ州にある試験場で行われた。試験に使用されたミニットマンIIの固体ロケット・モーターは、製造以来、50年と2カ月もの長期間にわたって保管され続けていたもので、試験を実施するための改修作業は半年以上かかったという。しかし、推進剤や断熱材、ノズルや点火装置などは当時のものを利用。燃焼試験における推力や圧力などは正常で、品質に問題はなかったとしている。

固体ロケットは液体ロケットと比べ、製造後に長期間の保存が可能という利点はあるものの限度はあり、経年劣化はもちろん、とくに同じ姿勢のまま長期間保存していると、推進剤の形が自重で歪み、モーターのケースからはがれたり、隙間ができたりといった問題が起こることもある。そのため一般的には、固体ロケットの寿命は10年前後といわれている。今回の試験の成功は、米空軍がミサイルの保管や維持、燃焼試験の前に行われる検査の精度などで高い技術をもっていることを示している。

米空軍によると、製造から50年も経った固体ロケットの燃焼試験を行ったのは初めてで、これまで最古の記録は4年だったという。

ミニットマンIIは1965年から配備が始まった大陸間弾道ミサイルで、核弾頭を搭載し、ソヴィエト連邦などへの攻撃や報復に備えていた。その後、老朽化や後継機となる「ミニットマンIII」が登場したことなどで、すでに全機が退役しているが、弾道弾迎撃ミサイルの発射試験の標的機や、人工衛星打ち上げロケットへ転用されるなど、現在でも実際に打ち上げられている。またそのために、米空軍の宇宙・ミサイル・システム・センターには専用の計画が用意され、保管や維持といった活動から、今回のような燃焼試験まで継続的に行われている。

米空軍では今回の試験の成功で、同時期に製造された他のミサイルがまだ打ち上げ可能であることが証明されたとしている。

50年前に製造された、ミニットマンIIミサイルの固体ロケット・モーターの燃焼試験の様子(2) (C) Los Angeles Air Force Base

50年前に製造された、ミニットマンIIミサイルの固体ロケット・モーターの燃焼試験の様子(3) (C) Los Angeles Air Force Base

【参考】

・50-Year Old Minuteman Motor Passes Static Fire Test > Los Angeles Air Force Base > Article Display
 http://www.losangeles.af.mil/News/Article-Display/Article/1030356/50-year-old-minuteman-motor-passes-static-fire-test#.WFLQHLnYp4x.twitter