米Googleの自動運転カー研究開発プロジェクトが「Waymo」というAlphabet子会社として独立した。新会社名は「a new WAY forward in MObility」を示し、CEOのJohn Krafcik氏は「人やものの移動を安全かつ便利にするミッションに挑む自動運転テクノロジーの会社」と説明している。

Googleの自動運転カープロジェクトは2009年にスタートした。高速道路や市街地など公道でのテスト走向を2012年に開始。市販車ベースではなく全てをGoogleがデザインしたプロトタイプ車両を2014年に製造し、2015年に公道でのテスト走行に投入した。これまでの公道での走行距離は200万マイル以上、シミュレーション走行は10億マイルを超える。

独立を発表するブログ記事の中でKrafcik氏は、研究に協力してきた目が不自由な男性が昨年10月に1人でプロトタイプ車両に乗ってテキサス州オースティンの街をドライブしたことを明かした。

自動運転カーのプロトタイプ車両に盲目の男性が1人で乗車してドライブ

Waymoの目標は自動運転技術の商業化である。自動運転カーが実現すれば、車を運転できない障害者や高齢者の人たちでも、1人で車に乗って移動できるようになる可能性がある。個人の移動、ライドシェア、ロジスティックスを変え、公共交通機関のラストワンマイル問題の解決にもつながる。米国では1年間で35,000人以上が交通事故で亡くなっており、その94%には人の操作や判断の過ちが関わっている。運転時間が長くなっても疲労しない自動運転カーは交通安全を向上させる。また、長期的には「新しい種類の製品、仕事、そしてサービスを生み出す」とKrafcik氏は述べる。

ここ最近、Googleの自動運転カープロジェクトのスピンアウトに関して、自動運転カーの開発を断念して自動運転技術の開発に専念すると報じられてきたが、Waymoは最初から自動車メーカーを目指してはいなかった。テキサス州オースティンのテスト走向において自動運転カーシステムがお抱え運転手のように盲目の男性をサポートしたのを例に、優れたドライバー(自動運転テクノロジー)を作ることがWaymoの目的であるとKrafcik氏は明言する。事業化では、自動車メーカーとの提携がWaymoの目指す技術の商用化のカギになる。