東日本大震災の影響で運転見合わせとなっていたJR常磐線相馬~浜吉田間が10日、5年9カ月ぶりに営業運転を再開した。駒ケ嶺駅から浜吉田駅まで内陸に移設した新ルートとなり、新地駅、坂元駅、山下駅は新駅舎となって営業を開始した。

運転再開した常磐線相馬~浜吉田間のうち、駒ケ嶺~浜吉田間は内陸へ移設された

JR東日本仙台支社・水戸支社は12月10日の常磐線相馬~浜吉田間運転再開に合わせ、常磐線を中心にダイヤ改正を実施した。原ノ町~仙台間では、同区間を直通する普通列車を下り23本・上り22本、山下~仙台間の普通列車を下り5本・上り4本、新地~仙台間の普通列車を下り2本・上り2本設定。小高~原ノ町間は普通列車を下り10本・上り10本(仙台駅からの直通列車は上り1本のみ)設定し、原ノ町駅で仙台方面の列車と接続を図る。

5年9カ月ぶりの運転再開となった12月10日、山下駅では多くの住民らが一番列車(山下駅5時42分発、仙台行の普通列車)の発車を見送り、新地駅前でも記念式典が開催されたと報じられた。新地駅・坂元駅・山下駅は沿線自治体の「まちづくり計画」に合わせて内陸へ移設されており、新地駅は相対式ホーム2面2線の地上駅、坂元駅は1面1線の高架駅、山下駅は島式ホーム1面2線の高架駅に。3駅ともホームは6両編成対応となっていた。

常磐線の旧線跡も確認できる

移設された山下駅・坂元駅。ともに高架駅に

移設された新地駅。地盤は嵩上げされ、現在も駅周辺の再開発が進む

新地駅の駅舎は1番線ホーム側にあり、2番線ホームへの跨線橋が設置されている。新地駅では大半の列車が1番線ホームに停車し、朝の時間帯に行われる列車待ち合わせでは、下り(仙台方面)列車が1番線ホーム、上り(原ノ町方面)列車が2番線ホームに停車する。夜間に設定された新地駅始発の普通列車は2本とも2番線ホームから発車する。

山下駅では同駅発着の普通列車(下り5本・上り4本)と、同駅で列車待ち合わせを行う上り列車が2番線ホームを使用。原ノ町駅・新地駅からの下り列車はすべて1番線ホームに停車し、列車待ち合わせのない上り列車も1番線ホームを使用する。この日の常磐線では、JR東日本が新たに導入した4両固定編成のE721系1000番台をはじめ、E721系0番台や701系がおもに使用され、2・4・6両編成で運転されていた。夕方の時間帯には、山下駅2番線ホームに719系が停車している場面も見られた。

移設された区間を走る(写真左から)E721系1000番台、E721系0番台、701系

12月11日には、常磐線相馬~浜吉田間運転再開を記念した特別企画として、719系改造の"のってたのしい列車"「フルーティアふくしま」が初めて常磐線を走る予定となっている(旅行商品はすでに完売)。往路は仙台駅10時40分発・原ノ町駅12時15分着、復路は原ノ町駅14時48分発・仙台駅16時18分着で運転される。