富士通は12月5日、工場の製造設備から収集される稼働実績のログデータをもとに製造工程の稼働状況を可視化するIoTソリューション「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VisuaLine(ビジュアライン)」(以下、「VisuaLine」)を販売開始した。

これまで同社は、2014年にオムロン・草津工場のプリント基板の表面実装ライン(SMT工程)で製造設備のログデータを活用した現場革新の共同実証に取り組み、効果として6カ月で30%の生産性向上を確認。その後、2016年には富士通アイ・ネットワークシステムズ(以下、FINET)・山梨工場のSMT工程における社内実証において、停止時間25%削減を達成している。

今回、オムロンとの共同実証による稼働実績を線グラフで見える化する機能をベースに、FINETでの社内実証で開発した動画連携などの機能を付加したVisuaLineを提供し、IoTによる製造現場の改革を支援していく。

「VisuaLine」の線グラフによる可視化イメージ

VisuaLineでは、1つの製品を生産するにあたり、開始から完了までの工程における製造設備のログデータを活用し、工程時間を波形で表現したグラフにて可視化。これにより、通常よりも遅延しているカ所や稼働当初よりも慢性的に時間を要しているカ所など、稼働状況を一目で把握でき、異常カ所の発見が誰でも行える。そのため、従来は設備からのアラームや稼働停止によって気づく異常を事前の点検で防ぐことを可能とし、生産の効率化を実現するという。

また、製造現場に設置したカメラとグラフの情報を連携させ、異常カ所など見たいグラフのポイントをクリックすることで、現場で起こったことや取られた対策など、その時点の映像を確認することができるほか、工程スケジュール目標と実績値を比較する予実可視化の機能により目標との差異から改善点を模索することや、製品ごとの製造ラインの動線を確認する設備可視化機能で効率的な工程を検討することなどを可能としている。

さらに、既存の設備の実績データを活用するためIoTによる製造現場の改善をすぐに開始できる。初期投資を抑えたスモールスタートが可能なため、まずは1ラインで実践したうえで他工場に拡充していくなどの導入手段が可能だという。

価格は基本ライセンスが月額7万9000円(税別)~、オプションライセンスが同2万4000円(同)~。販売目標は2019年度までに3000ライセンスを計画している。