ディスコは12月1日、「2017年卒 採用マーケットの分析 就職・採用戦線総括」を発表した。同調査は2015年11月~2016年10月における各月に、インターネットで行われた。回答は2017年3月卒業予定の大学4年生(理系は大学院修士課程2年生を含む)の合計1万2,095人、及び企業の合計4,012社を対象にインターネットで行われた。

エントリー社数が大きく減少

「選考解禁翌月の活動量比較」

スケジュールが異なる直近3年について、選考解禁翌月の就職活動量を比較してみると、2016年7月1日時点の一人あたりのエントリー社数は平均45.8社。前年と比べて3割近くも減少し、この2年でおよそ半減した。また、この2年で企業セミナー参加社数は4.9社の減少(22.7社→17.8社)、エントリーシート(ES)提出社数は2.7社の減少(20.2社→17.5社)など、他の項目でも減少傾向にあることがわかった。

「エントリーとセミナー参加のピーク時期(過去3カ年)」

続いて、過去3カ年のエントリーのピーク時期を見てみると、3カ年とも採用広報解禁月に集中しており、他の月と比べてかなり高かった。さらに、2015年卒者は53.1%、2016年卒者は66.6%、2017年卒者は74.8%と、解禁月への集中度が増加していることが読み取れた。

セミナー参加のピーク時期についてみると、2015年卒者は広報解禁2カ月後の「2月」(41.4%)が最も多かった。2016年卒者では広報解禁1カ月後の「4月」(39.6%)が最多に。さらに、2017年卒者では広報解禁月となる「3月」(51.5%)で最多となり、エントリーとセミナーのピークが重なる結果となった。

広報解禁から選考解禁までの期間は、一昨年は4カ月、昨年は5カ月あったのが、今年は3カ月しかなかったため、企業は前倒しでセミナーを開催。それに合わせて、学生は数多くのセミナー案内の中から、既に興味を持っていた企業のセミナーに参加、そこから選考への応募へと一気に収束せざるを得なかったと推察される。広報の短期化が、学生のエントリー社数やセミナー参加社数の減少に大きな影響を与えた可能性は高いと言える結果となった。

就活終了者、7月に一気に増加

「就職活動継続率の推移」

調査によると、6月には半数以上の学生が内定を獲得。では、内定取得学生の就職活動継続状況はどのように変化したのだろうか。内定を得た学生のうち、どのくらいが活動中で、どのくらいが終了したのかを月別に見た結果、6月は19.8%だった活動終了者が、7月には61.9%まで一気に増加。6月1日時点の内定率は54.9%と、内定を持つ学生は半数を超えていたが、まだこの時期は大手の企業選考が、始まったばかりであり、その結果が6月末までに出たことで、就活を終えた学生が急増したことが伺えた。

8割以上が志望企業に就職

次に、就職先企業について当初の志望を質問すると、「第一志望の企業だった」が36.1%、「第一志望ではないが入りたい企業だった」が45.7%と、合わせて8割以上(81.8%)の学生が就活スタート時から就職先として意識していた企業に決めていることがわかった。

「就職先企業の選択基準」

続いて、企業を選ぶ際に重要視していた点と、その企業への就職を決めた理由に変化があったかを探るため、今年1月時点の就職先企業を選ぶ際に重視する点と、8月時点の就職決定企業に決めた理由を比較した。その結果、「社会貢献度が高い」(9位→1位)や「職場の雰囲気が良い」(4位→2位)、「仕事内容が魅力的」(7位→3位)では順位が上昇。一方、順位を下げたのは労働条件に関する項目が多く、「給与・待遇が良い」(2位→7位)や「福利厚生が充実している」(3位→5位)、「休日・休暇が多い」(6位→12位)などだった。

短期決戦と言われる今年の就活戦線においては、企業理解が余り深まっていないまま就職先を決めてしまう学生も多いようで、学生からは、「就職先に決めた企業が自分に合っているのか不安に感じている」といった声も多く聞かれた。