Amazon.co.jpは12月5日、Amazonプライム会員向けのボタン型小型端末「Dash Button」を発売した。男性の親指サイズほどのガジェットで、本体にある物理ボタンを押すだけで、スマートフォンやパソコンを開くことなくAmazonの特定商品が購入できる。

価格は税込500円。ただし、初回購入時は500円相当が差し引かれるため、実質無料で手に入れることができる。また、ひとつのDash Buttonに登録できるのは1商品のみだが、登録商品が異なるDash Buttonの複数購入も可能だ。

ボタンひとつで、洗剤などの消耗品をAmazonから購入できる「Amazon Dash Button」

部屋に設置したイメージ

必ずリピートする日用品を手軽に注文

洗剤やオムツ、シャンプー、ドッグフードにミネラルウォーター、いつも食べている朝ごはんのシリアルなど、家庭で常に備蓄している日用品は多い。しかし「そろそろティッシュが無くなりそう」と思っても、忙しい朝などはショッピングサイトを開く手間やサイトへのログインも面倒。そして「あとで購入しよう」と考えているうちに、とうとう備蓄が切れてしまう……そんな経験がある人も多いだろう。

Dash Buttonは、これらの日用品を、物理ボタンをポンと押すだけで購入可能。ボタンを押した当日、あるいは翌日には商品が届くサービスだ。スマートフォンやパソコンを起動する必要もなく、もちろんショッピングサイトへのログインといった手間も必要ない。

とはいえ、Amazonにあるすべての製品が対象ではなく、12月5日のサービス開始時点でDash Buttonが使用できる製品は40ブランド以上・約700種類。Amazonの対象製品のページから「Dash Button」を選択すると、その製品専用のDash Buttonが送られてくる仕組みだ。

日本ではサービス開始時点で「アタック」や「エリエール」など40以上のブランドが参入する

Dash Buttonの下準備を体験してみる

Dash Buttonを登録・使用するまでの流れを体験できたので、レポートしたい。製品はサントリーのミネラルウォーター「天然水」だ。

Dash Buttonの表面には、各ブランドのロゴシールが貼られている。会場では天然水のDash Buttonを体験することができた

登録方法は非常に簡単。スマートフォンでAmazonアプリを開き、「アカウントサービス」から「Dash端末」→「新しい端末をセットアップ」を選ぶ。この状態で、Dash Buttonのボタンを青いランプが点滅するまで長押しすると、スマートフォンとDash ButtonがBluetoothで接続。あとはアプリが自動的に、Dash Buttonを自宅のWi-Fiに直接接続するよう設定してくれる。ちなみに、Bluetoothを使用するのは、この最初の登録時だけ。その後はDash ButtonはWi-Fiを通して直接クラウドに接続するため、スマートフォンが近くになくても動作する(自宅のWi-Fi環境は必須)。

Dash Buttonの登録にはスマートフォンが必要。アプリのアカウントサービスから複数の端末を登録できる

ボタン長押しでDash ButtonとスマートフォンをBlutoothで接続。その後、Wi-Fiへの接続設定が自動的に行われる。非常に簡単

Dash Buttonを登録できたら、最後に製品を選択。今回はサントリーの「天然水」のDash Buttonを使用したが、一口に「天然水」といってもサイズや入り数、スパークリングやフレーバー味など、さまざまな種類から選択できた。種類やサイズ、購入数などを選択したら、設定終了。Dash Buttonの裏は何度も剥がして使える粘着テープになっているので、あとは台所などの目立つ場所に貼り付ければ準備完了。ちなみに、Dash Buttonは防滴仕様なので、台所にも安心して設置できそうだ。

最後に種類やボトルサイズ、購入本数などを選択すれば登録終了

本体裏面は、洗って繰り返し使用できる粘着素材になっている

製品を備蓄している保存庫の扉や、洗濯洗剤なら洗濯機など、わかりやすい場所に貼り付けておける

子供が連打しても大丈夫?

会場では、実際にDash Buttonを使用することもできた。とはいえ、使用方法はボタンを押すだけだ。ボタンを押した直後は、ランプが白く点滅。これは、Amazonのサイトと通信している状態。その後、ランプが緑に点灯したら、製品が正常に注文・購入できたという合図だ。

ちなみに、インターネットに接続できない、あるいはAmazonに在庫がないなど、正常に購入できなかった場合は赤いランプが点灯する

あまりにも簡単なので、「子供が悪戯したらどうなるのか? 」といった疑問も出た。これに対してAmazonは、購入後すぐに登録者のスマートフォンに"購入した"というアラートが通知されるので、自分が予期しない購入の場合は即時にキャンセル可能だと説明。また、一度ボタンを押すと、基本的には製品が自宅に届くまで再購入できない(設定により変更可能)ため、家族がバラバラにボタンを押しても、購入が重複したり、子供が悪戯でボタンを連打して大量の製品が届くといった問題は起きないという。

【動画】ボタンを押した直後。緑色に点灯後、すぐにスマートフォンに購入の知らせが表示された

注文のキャンセルもできる

また、Dash Buttonは普段は完全に電源をカット。ボタンを押してインターネットに接続している間だけしか通電しないため、バッテリーは約1年持つという。

今後の登場が楽しみなAmazon Dash Replenishment製品

ちなみに、Dash Button担当ディレクターであるダニエル・ラウシュ氏によると、今後はDash Buttonを応用した「Amazon Dash Replenishment」の開発も日本で行うという。これは、家電などに直接組み込む、センサー搭載型のDash Buttonのようなもの。たとえば、プリンターに組み込むことで、インク残量が減ったら自動的にインクを注文したり、洗濯機に投入した洗剤の量を検知して、洗剤がなくなりそうなタイミングで自動的に洗剤の購入ができるという。

Dash Button担当ディレクターであるダニエル・ラウシュ氏

Amazon Dash Replenishmentを組み込んだ浄水ボトル。水の排出量をセンシングし、一定以上の水を浄水すると自動的にフィルターを購入できるという