11月25日、ソフトPVC(軟質塩ビ)のデザインコンテンスト「PVC Design Award 2016」の表彰式が都内で開催された。

同コンテストは、PVCの中でも柔軟性があり、加工性・印刷性・透明性に優れるソフトPVCの特長を生かした独創性や実用性に優れる「デザイン提案」と「製品」を公募し、その中から将来の可能性を広げるような魅力ある作品を選定および表彰して、業界の活性化を図ることを目的とする。

6回目となる今回は、前回に引き続き"安心・安全・快適"をテーマに作品を募集。全国から合計256点のデザイン提案と59点の製品が寄せられた。なお、募集はデザイン提案と製品を分けて行ったが、審査は両方(デザイン提案は加工メーカーが選出・マッチングして製作した30点)を同等の対象とした。

見事大賞に選出されたのはナショナルマリンプラスチック NDPチームNと梶本博司氏の共同作品「とびだすおふろ POP-UP-BATH」。同作品は飛び出す絵本のように瞬時に立ち上がる浴槽で、軽量のため簡単に持ち運ぶことができ、災害時の避難所などでの活用が期待される。

大賞に輝いた「とびだすおふろ POP-UP-BATH」

優秀賞には2点が選出された。1点目は三洋とロンシール工業の共同作品で、抗ウイルス効果のあるPVCフィルムを加工した「抗ウイルス製品群」。もう1点は田村開氏と森松の岩間正美氏、同 橋野徳明氏の共同作品で、ソフトPVCの粘着性を活かし、洗面台や風呂の鏡などに貼りつけて歯ブラシやひげ剃りを収納できる「amenity pocket」だった。

優秀賞の2作品。(左から)「抗ウイルス製品群」と「amenity pocket」

審査委員を代表してコンテストを総評した雑誌「AXIS」の石橋勝利 編集長は大賞作品について「大賞チームはメーカーとデザイナーがかなり密にコラボレーションしている。アイデアをすぐに形にして、試行錯誤を繰り返しやっているのが結果につながっていると思う」とデザイナーとメーカーのコミュニケーションが成功の鍵と分析。一方、コンテスト全体について「デザインの価値とか、デザイナーの付き合い方がわかっているチームとそうでないチームの差がどんどん開いている」と指摘し、コンテストのあり方も模索したいとした。

雑誌「AXIS」の石橋勝利 編集長

なお、受賞作品については東京・名古屋・大阪・福岡で展示される。詳しい会場および展示期間はPVC Design Awardのウェブサイトで確認できる。