大阪府立大学は11月24日、印刷で作製できる柔らかい添付型のウェアラブルデバイスのプロトタイプを開発したと発表した。

同成果は、大阪府立大学大学院工学研究科 竹井邦晴助教らの研究グループによるもので、11月23日付けの米国科学誌「Science Advances」に掲載された。

同ウェアラブルデバイスは、絆創膏のように皮膚に添付することで、人の活動量や心拍、皮膚温度、紫外線量をリアルタイムで計測することができるというもの。活動量を計測する歪みセンサとその構造の工夫、および皮膚温度を計測する高感度温度センサ、心拍計測のための心電センサ、紫外線量計測に向けた紫外線センサを印刷形成できるよう、無機ナノ材料や有機材料を混合させてそれぞれのインクを開発し、そのセンサの集積化を行うことで実現した。同研究グループによると、印刷技術による柔らかいフィルム上での活動量(加速度)センサの開発は世界初だという。

皮膚へ直接添付するフィルムは使い捨てシートとし、トランジスタや紫外線センサなどの高価な電子部品は再利用シートに形成することで、衛生面を考慮しつつ、デバイスの柔軟性の維持とコストの削減を図っている。

現状、同ウェアラブルデバイスには信号処理回路、無線回路、電源等が搭載されておらず、計測はすべて有線で装置に接続して測定を行っているため、同研究グループはさらなる研究開発が必要になるとしているが、医療費削減、孤独死、医師・看護師の負担軽減など、現在のさまざまな社会問題の解決につながる基礎技術となることが期待される。

今回開発された印刷形成による多種センサ集積ウェアラブルデバイスと、実際に測定した紫外線、皮膚温度、心電、活動量の結果