安藤ハザマは11月22日、サイテック・ジャパンおよびファーストリリーと協力し、機械学習などを活用した新たなEMS(Energy Management System)を含む、スマートエネルギーシステム「AHSES(Adjusting to Human Smart Energy System)」を開発したと発表した。

高度な省エネルギー性能を有する建築物であるNet Zero Energy Building(ZEB)の実現には、建築物・設備の大幅な省エネ化と再生可能エネルギーの導入に加え、天候に左右される太陽光発電や容量に限りがある蓄電池の電力を、変動する需要に対し効率的・効果的に供給できるEMSの構築が不可欠となる。

AHSESは「単体建物からコミュニティまでの多くの人間の営みからくる要求に応えるスマートエネルギーシステム」をコンセプトとし、電力需要を予測し最適な運転計画をつくるプログラム、創エネ設備、蓄エネ設備、電力変換装置およびエネルギーの運用状況を確認する「見える化」画面から構成される。

同システムでは、建物の利用や気象情報を基に、機械学習と数理手法により電力需要予測および最適運転計画を行い、創エネ設備と蓄エネ設備から最適なタイミングでアシストを行う。また、分散型電源を直流で接続することで、スムーズな充放電制御を実現するほか、建物規模に応じて柔軟にシステムを拡張・縮小できる。さらに、分単位での制御により、今後、各電力会社が導入予定のダイナミックプライシングへも対応可能だ。このほか、非常時の自立電源としてサーバーなどの重要負荷に電力を供給する機能や、施設利用者に向けてエネルギーの流れを可視化する「見える化」画面を有する。

AHSESの構成

「見える化」画面

安藤ハザマは、AHSESの開発に2013年4月より着手し、各種デバイスの検証を経て、2016年3月より同社技術研究所に導入。その結果、電力需要予測と最適運転計画に基づく電力負荷のピークカット効果が適切に得られていること、および非常用電源として機能することを確認したという。

ピークカットをイメージ例としたAHSES導入の効果。左が一般的なエネルギーの運用例、右がAHSESによるエネルギーの運用例

今後は、コージェネレーションシステムを活用したAHSESによる電力と熱の最適供給、建物間でエネルギーを融通するスマートグリッドの構築を目指すとしている。