すららネットは22日、学校教育市場に特化したICT専業メーカーのチエルと学校向けデジタル教材の分野において協業し、小中学校向けのe-Learningドリル教材を共同開発することを発表した。教材のリリースは2017年4月より開始予定。

今回の協業の背景には、文部科学省が本年7月に公表した「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」最終まとめにおいて、学校や家庭で利用される教育システムの「学習記録データ」を有効につなげることで、子供たちの学びを可視化する必要性が示されたことがある。これにより、教員の指導力向上や授業改善、個に応じた学習の充実、学校・家庭のシームレスな学びの実践が期待されているという。

すららネットでは、学校・学習塾向けのクラウド型学習システム「すらら」において、子供たちの解答結果から一人ひとりの習熟度に応じて最適化した問題や解説を自動で提示する「適応学習(アダプティブ・ラーニング)」の研究開発を行ってきた。2014年には「すらら」の学習データをもとに、世界銀行、東京大学と最適な学習行動についての共同研究を実施し、「行動経済学会」で発表された。2016年には、慶應義塾大学と一橋大学との共同研究内容が「経済産業研究所」などでも発表されている。

一方チエルでは、高校・大学向けのクラウド型教材配信サービス「CHIeru.net」で培ったノウハウを活かし、小中学校向けのデジタル教材クラウドサービスの開発において、学習記録データを基にした「学習分析(ラーニング・アナリティクス)」についての研究開発を進めてきた。このたびの業務提携を端緒として、公教育分野に強みを持つチエルとe-Learningドリル教材を共同で展開することで、公教育のICT化支援を進めていくということだ。