日立システムズと日立ソリューションズ西日本、ファーム・アライアンス・マネジメントの3社は11月22日、青果流通分野向けサービスの領域で協業すると発表した。

国内農業は、担い手の高齢化や輸入品との競争激化などにより、安定的な農作物の供給が困難な状況になりつつあり、そうした中で農業生産者は、いつ、どこで、どのような作物が、いくらで、どのくらい売れているのかといった情報を入手し、需要に見合った生産計画を立てることにより、廃棄ロスや機会損失を無くし、経営を安定させたいと考えているという。

一方、競争の激化が進む小売業界においては、他社との差異化戦略の1つとして産地と直結した生鮮品の確保が求められていることに加え、消費者の食の安全・安心に対する関心が高まる中、原産地表示の義務づけの検討が進む加工食品業界と同様に、生鮮品のトレーサビリティ管理の重要度は増しており、青果流通プロセス全体での情報一元化の必要性が高まっている。

こうした青果流通分野における課題やニーズに対応するため、3社は青果流通分野向けのサービスの領域で協業。今回の協業に基づき、各社が提供する青果流通分野向けシステムの連携機能を開発する。すでに11月下旬から実証実験を行っており、新たな情報提供サービスに関する技術やサービスの有効性について検証を実施。これらの結果を踏まえ、2017年度中のサービス化を目指す。

具体的には、各社の青果流通分野向けシステムをシームレスに連携するための機能を共同開発し、青果流通に関するデータの一元化を実現。その後、同システムを通じて青果流通データをクラウドに集約し、農業生産者、中間卸会社、量販店にとって有用なデータを提供する情報提供サービスを開始する予定だ。また、新サービスの開発に先立ち、量販店、中間卸会社および農業生産者と共同で実証実験を行い、技術的な実現性とサービスの有効性について検証を行う方針だ。

協業により実現可能なサービスのイメージ

新サービスを農業生産者から中間卸売業者、量販店までのバリューチェーン全体で活用することにより、農業生産者は市場における販売価格や需要状況を事前に確認することができ、効率的な生産・出荷計画を立案が可能になるという。

一方、量販店は店舗で取り扱う農作物の収穫時期や出荷可能量などを事前把握することが容易になり、安定的な供給に役立てられるほか、流通するデータに農作物のトレーサビリティ情報を付加させることで、消費者の食の安全・安心へのニーズに対応し、青果部門などの負荷軽減を支援するとしている。

将来的には、より多くのデータをクラウド上に集約し、データ解析技術やAI(人工知能)技術などを活用することで、本サービスで提供する青果流通データの価値を向上させるとともに、必要な時にインターネット経由でPCやタブレット端末などから、リアルタイムに情報を閲覧することができるサービスの提供を検討している。