大日本印刷は、オリジナル書体「秀英体」で活版印刷の風合いを再現した「にじみフォント」を開発。同書体の第1弾として、「秀英にじみ明朝 L」を、ソフトバンク・テクノロジーのWebフォントサービス「FONTPLUS」で、11月18日より発売した。

従来の明朝文字(上)と、にじみを表現した書体(下)

同社が解析したにじみの特徴

「にじみフォント」は、活版印刷の風合いを再現したデジタルフォント。DNPの創業当初(1876年)から2003年まで続いた活版印刷で使用された歴史ある書体「秀英体」が、印刷された紙面上にどのように表現されているかを細かく分析し、長年培ってきた書体制作技術と画像処理技術を活かして開発した。同書体の開発の背景には、出版や広告の分野では、デジタルメディアが進展する中で、あえてアナログな風合いを加えて温もりや手触り感を表現することが増えていることがあるという。

印刷時の圧力(印圧)によってにじむインクの風合いを再現するため、活版印刷物の印影を分析したところ、活版で印刷された文字はインクが活字に付着していくことで、徐々に“ハライ”の先端や“ウロコ”の角が丸くなったり、太くなったりする傾向があることが判明。また、線がランダムに揺らいだり太くなったり、交差する部分が丸くなったり、近接する部分がつながったりすることもあった。これらの分析結果を「にじみ効果」として付与する専用プログラムを開発し、秀英体フォントデータにこのプログラムで画像処理を行って、「秀英にじみ明朝」フォントを作成した。

今後もDNPは、秀英体「にじみ」フォントシリーズの開発を進め、「にじみゴシック」「にじみアンチック」などのラインナップを追加する予定だ。また、秀英体の利用範囲をさらに広げるため、多様な分野へのライセンス提供を推進する。秀英体「にじみ」フォントの利用費とコンテンツの企画・制作費などを合わせ、2020年度までに3億円の売上を目指す。