本稿では、弊誌にて掲載しきれなかった国内の大学・研究機関の研究成果に関するニュースリリースをご紹介する。今回は、11月7日~11月11日付けのリリースからお届けしたい。 物理系 東北大、スピンゼーベック効果の高効率化に新指針 核融合研など、アルツィモヴィッチ予想に基づくプラズマの変形を観測 理研、有機両極性半導体による回路の低消費電力化に成功 北大、液晶のトポロジカルな欠陥を利用した書き換え可能な高密度光渦発生アレイ 横国大など、位相制御したテラヘルツ波によりトンネル電子をナノ空間で制御 化学・材料系 東邦大、糖を精密につなぐ新しい手法を開発 NIMS、粘土鉱物中のセシウム吸着場所をNMRで特定 産総研、水素の大量製造を可能にする酸化物ナノ複合化陽極材料を開発 山口大、安価なアルカリフッ化物を用いて選択的フッ素化の新手法を開発 生命科学・バイオ系 東大、生きた細胞内のグルタチオンの濃度情報を得ることに成功 東大、カイコ培養細胞を用いた人工ping-pong piRNA産生系の確立 東大、オートファジーの活性を簡便かつ定量的に測定できる新規プローブの開発 理研と兵庫県立大、病原菌が鉄を細胞内に取り込む仕組みを解明 名大、植物の細胞分裂を急速に止める新規化合物を発見 神戸大、2-アミノ酪酸による新たなグルタチオン代謝制御機構を発見 農研機構など、イネへの感染の鍵となるいもち病菌の遺伝子を新たに発見 千葉大、熱揺らぎを利用する転写酵素の機構を発見 静岡大、ゲノム編集技術を用いてマウス雄性不妊の原因遺伝子を同定 九大、ショウジョウバエ腸内細菌の共生と破綻の分子機構を解明 TMDU、タンパク質合成の場であるリボソームを2つの作用で制御する遺伝子を発見 医療系 京大、乳がん細胞の転移を促進する新たなメカニズムの解明 京大、細胞外マトリックスを用いてヒト多能性幹細胞から血管内皮細胞を誘導 京大、血管肉腫ではPD-1/PD-L1の発現と予後が相関する 理研など、ドーパミン受容体D1R・D2R発現抑制の視認知学習機能への影響を解明 理研、加齢黄斑変性発症に関わる新たな遺伝子型を発見 名大、プラズマ活性点滴を開発 名大、小胞体とミトコンドリアの接触部の崩壊がALS発症の鍵となることを発見 阪大、大腸がんの転移にはオンコメタボライトが関与する 量研機構など、生体内に移植したiPS細胞由来神経前駆細胞の脳内動態を画像化 国がん、RET融合遺伝子陽性の肺がんに対するバンデタニブの有効性を確認 慶大、食べ過ぎが内臓の老化を加速させるメカニズムをマウスにおいて解明 新潟大など、メタボと咀嚼の能率性に関連性があることを明らかに 群馬大など、脊髄小脳失調症1型(SCA1)の運動失調メカニズムの解明 横市大、動脈硬化症の細胞レベルでの詳細な病態を解明 北大、背表面の対称性を評価するシステムを確立し実用化 東北大、腎臓病患者で筋肉の萎縮が起きる機序を解明 東大、NF-κB シグナルは軟骨細胞を両面的に制御することを解明 その他 東京農工大など、布域が狭い種ほど局所的な絶滅が起こりやすいことを明らかに 阪大、有馬-高槻断層帯で地震の痕跡である多数の非晶質微粒子を確認 静岡大学は、マウスにおける雄性不妊の原因遺伝子としてSlc22a14を同定した。野生型のマウス精子(左)がまっすぐな鞭毛をもつのに対し、Slc22a14ノックアウトマウス精子(右)の鞭毛はヘアピン状あるいはV字状に異常に屈曲している