中国資本が13億ドルで米Lattice Semiconductorの買収を計画

米Lattice Semiconductorと投資企業である米Canyon Bridge Capital Partnersは11月4日(米国時間)、Canyon Bridgeの企業買収専業子会社Canyon Bridge Acquisition CompanyがLatticeを13億ドルで買収することで最終合意に達したと発表した。

Latticeの発行済み株式に3割を超えるプレミアムを付けて1株あたり8.30ドルの現金で買い取る形で買収する。買収後もLatticeは、そのままの社名で従来通り事業を継続するとしている。シリコンバレーでは、Latticeが売却先を探しており、中国国有投資グループである清華紫光集団をはじめとした中国勢が強い関心を持っていることがたびたび報道されていたので、今回の買収について、QualcommのNXP Semiconductors買収の際のような驚きはない。

バックに巨額な中国投資ファンド

買収を行うCanyon Bridgeはごく最近、シリコンバレーの中心で起業したばかりの中国系投資ベンチャーで、 社名や活動内容をほとんど地元でも知られていないが、中国国内の巨額な半導体投資資金をバックに米国半導体企業を買収する目的でシリコンバレーの中心地に設立されたようだ。同社社長のBenjamin Chow氏はつい最近まで北京に本拠地を置く中国投資ファンドChina Reform Fund(中国名:国新基金)の役員を務めていた人物で、中国最大の半導体メーカーSMICの元社長兼CEOだったDavid Wang氏が同社シニアアドバイザー(顧問職)に就任している。同氏はApplied Materialsの日本を含むアジア地区の販売担当副社長だった人物であり、日本でもよく知られている。Latticeの経営者の話では、買収額13億ドルは、主にChina Reform Fundから出資されるという。米国政府(米国貿易管理委員会)は国家安全保安上の理由で、共産主義資本による米国企業買収を、最近、今まで以上に厳しく監視しているため、米国の半導体オブザーバーの多くは、米国政府が今回の買収を承認する可能性は低いのではないかと見ている。

FPGA業界で安値攻勢をしかけてきたLattice

Latticeは、中堅FPGA・PLDベンダとして知られ、低消費電力、低コスト、小サイズを特徴とするミドルレンジからローエンドのFPGAに注力しトップFPGAベンダであるXilinxやAltera(現Intel)とは一線を画した独自の事業戦略をとってきた。スマホやデジカメ向けに、大量購入すれば一個50セント程度のFPGAを供給しており中国本土にも多数の顧客を抱えている。Samsung Electronicsのコンシューマエレクトロニクス製品にも多数搭載されている。カナダのリバースエンジニアリング企業Chipworksによると、最新のiPhone 7にもLatticeのFPGAが搭載されているという。設計センターは、米国(オレゴン、シリコンバレー)のほか、中国(上海)、フィリピン(マニラ)、シンガポール、インドに設置されており、中国を中心にアジアへの拡販に力を入れている。

Latticeは、ハイパワー、高価、大型というFPGAの既存概念を打ち破るローパワー、低価格、小型のFPGAを提供してきた (出所:Lattice Semiconductor)

FPGA業界トップのXilinxは勝ち残れるのか?

FPGA業界では、大手のAlteraが2015年にIntelに買収され、中堅のActelがMicrosemiに買収され、今回のLattice買収で、独立した企業はFPGAの老舗でトップサプライヤのXilinxのみとなる見通しだ。はたしてXilinxは、FPGAビジネスの創業者として独立したまま勝ち残れるのだろうか。シリコンバレーでは、Xilinxも、Alteraのように、どこかの超大手企業に買収されるのではないかという噂が後を絶たない。さらには、Analog DevicesやTexas Instrumentsが買収を試みるも買収額で折り合わず破談となった中堅アナログ半導体企業のMaxim Integratedについても、現地ではさらなる買収の噂が絶えない。

QualcommによるNXPの市場最高額(約470億ドル)買収の発表があったばかりだが、中国勢も果敢に参戦してきて、さらに、世界半導体業界の生き残りをかけた再編は続くだろう。

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