Maxim Integratedは10月31日(米国時間)、ウェアラブル機器やポータブルヘルスケア機器から、ハイエンドのフィットネスといった幅広いヘルスケアアプリケーションの開発期間を短縮することを可能とする開発/評価向けプラットフォーム「hSensor Platform」を発表した。

同社は現在、「自動車」および「産業機器」を事業の柱に据えているが、近年、第3の柱として、ゲーム機や電動自転車、ハイエンドオーディオといった趣味に通じるエンドユーザーの満足度の向上を図れる「差別化家電」の分野に向けた製品開発も進めてきており、その差別化家電の次のターゲットとして「ウェアラブル」にフォーカスしているとする。

ウェアラブル、中でも生体情報をログとして取得できる小型ヘルスケア機器は、簡易的な医療機器としての役割も求められ、医療機関へのデータ提出などのニーズを踏まえ、データの改ざん防止や盗聴に対するセキュリティや、高い測定精度が求められる状況となっており、同プラットフォームは、そうしたニーズに対応しつつ、機器開発の期間短縮を実現することを目的に開発されたもの。ちなみに、hSensorの頭文字「h」はhealthcareを意味するとしている。

具体的には、同プラットフォームには同社製品として、「±0.1℃温度センサ」「生体電位(ECG)AFE」「パルス酸素濃度計および心拍数センサ」といった各種センサのほか、それらを処理するARM Cortex-M4F搭載マイコン、ならびに最大のニーズである省電力性を提供するPMICなどが搭載されており、小型ヘルスケア機器で求められるさまざまな測定を行うことが可能だ。すでにいくつかのユースケースは実証済みとのことであり、これによりプロトタイプ作成に要する期間、3~6カ月ほどを短縮することができるようになる。

25.4mm×30.5mmの小型基板の上に多数のセンサやマイコン、PMICなどが搭載されている

また、同プラットフォームでは、評価ボードのほかに、ドライバを備えたファームウェア、デバッガボード、およびグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)が提供される。さらに、同社Webサイトにて、さまざまな用途に応じた評価用アルゴリズムも提供。標準的なベーシックアルゴリズムのほか、それぞれのカスタマに向けて高度化したアドバンストアルゴリズムの提供にも対応するという。

リファレンスデザインとして、評価ボードのほかにデバッガボード、USBケーブル、ECGケーブル、CR2032バッテリホルダなどもセットで提供される。また、各種用途に応じたアルゴリズムも提供されるため、すぐにハードウェアの評価を行うことが可能となる。ただし、これらのアルゴリズムはあくまで評価用であり、実際の製品用途にはチューニングをするなり、といった開発が必要になり、そうしたニーズにはオプションとしてアドバンストアルゴリズムを提供することで対応していくとする

なお、同プラットフォームは、リファレンスデザイン「MAXREFDES100#」として提供され、単価は150ドル。同社のWebサイトおよび一部の販売代理店からすでに入手が可能となっている。

比較用の500円玉と評価ボードとデバッガボード。コネクタはUSB Type-Cを採用している