JR西日本は27日、大阪駅北側「うめきた地区」で進む東海道本線支線地下化・新駅設置工事の現場を報道陣に公開した。2023年開業に向け、着実に工事は進展している。

「うめきた地区」での東海道本線支線地下化・新駅設置工事の現場を公開

現在、京都駅(一部列車は米原駅)と関西空港駅を結ぶ特急「はるか」や、京都駅・新大阪駅から白浜・新宮方面へ向かう特急「くろしお」は吹田貨物ターミナル駅を起点とする東海道本線支線を走行している。新大阪駅に停車した後、梅田信号場(旧梅田貨物駅)を経て福島駅付近から大阪環状線と並行する。

この東海道本線支線のうち、旧梅田貨物駅付近の約2.4km(大阪市北区豊崎6丁目~福島区福島7丁目)が地下化事業区間となり、工事が進められている。予定では、福島方約0.3km・新大阪方約0.4kmが堀割区間、残り約1.7kmがトンネル区間となる。地下化に合わせ、現在の地上線より南側へ線路が移設され、大阪駅に近接する位置に2面4線の構造を持つ新駅「北梅田駅(仮称)」を設置。特急「はるか」「くろしお」が停車する予定だ。

「北梅田駅(仮称)」と大型商業施設「グランフロント大阪」は地下道でつながり、新駅が「うめきた地区」の発展に大きく貢献することは間違いないだろう。特急「はるか」も「北梅田駅(仮称)」に停車するため、訪日外国人旅行者が直接「うめきた地区」を訪れることが期待されている。地下化にともない踏切1カ所(西梅田一番踏切)が廃止され、中国街道・能勢街道の高さ制限が解消されることから、円滑な交通輸送も達成される。

北2工区ではトンネルを作るための掘削やコンクリート打ちの作業が進む

今回、JR西日本は地下化事業区間のうち「北2工区」を公開した。新大阪方のトンネル入口と「北梅田駅(仮称)」予定地のほぼ中間に位置する工区で、インフラ設備の移転が必要となるため、2015年11月から先行的に作業が進められている。

北2工区では現在、トンネルを作るための掘削作業が続けられており、トンネルの規模は高さ7m・幅11.5mになる予定だ。現場の床面はコンクリート打ちがすでに終了し、左カーブの下り勾配となっていた。工事現場からは、電車の走る姿がイメージでき、着実に完成に向けて作業が進んでいるとの印象を受けた。

公開された現場は高さ12m・幅12mの溝となっており、この中にトンネルが入る。JR西日本大阪工事事務所大阪工事所の所長、桐畑修一氏は今回の工事のポイントとして、「地下2mのところに地下水があるため、水を出さないように気を遣っている」と話した。

工事が進むエリアの地上部分は空き地が目立つ。現行の東海道本線支線(地上線)や「うめきたガーデン」(2017年3月までの期間限定で開催)も見える

なお、新駅「北梅田駅(仮称)」については10月27日に安全祈願が行われ、翌28日に着工される。東海道本線支線の地下化・新駅設置工事を通じて、2019年開業予定のおおさか東線(新大阪~久宝寺間)との相互直通運転も可能となる予定。現在のところ、実際に乗入れが行われるかも含めて検討中とのことだった。