マンダムは10月27日、ヒトの汗腺幹細胞を発見し、生体外での汗腺様構造体の再生に成功したと発表した。

同成果は、マンダムと大阪大学蛋白質研究所、同大学医学系研究科および薬学研究科との共同研究によるもので、10月30日~11月2日に米国で開催される「第29回国際化粧品技術者会(IFSCC)オーランド大会」にて発表される予定。

これまでの研究で、ヒトの表皮や毛包等には幹細胞が存在し、各々の機能の維持に貢献していることがわかっている。しかし、ヒト汗腺においては、幹細胞の存在を証明するために必要な汗腺細胞の単離方法が確立されていなかったため、汗腺に幹細胞が存在しているかどうかは明らかになっていなかった。

ヒト汗腺は、汗の通り道である汗管と、汗が分泌される分泌腺に分けられ、汗管は汗管管腔細胞と基底層細胞から、分泌腺は管腔細胞と筋上皮細胞からできている。研究グループは今回、汗腺のどの部分に幹細胞が存在するのかを解明するため、ヒト汗腺を構成しているこれらの4つの細胞集団を、別々に純度良く単離する方法について検討。この結果、これらの細胞集団を、精度よく標識できるマーカーを特定することに成功した。

また研究グループは、この汗腺細胞の単離方法を利用して、ヒト皮膚組織から単離した汗腺細胞をそれぞれ生体外で培養し、幹細胞の特徴である自己複製能と多分化能を有するかどうかを評価。筋上皮細胞がそれらを有していることを明らかにした。

さらに、筋上皮細胞から形成された細胞塊の断面像を観察したところ、細胞塊の外側では筋上皮細胞のマーカーが、内側では管腔細胞マーカーがそれぞれ陽性の反応となり、細胞塊の外側には筋上皮細胞が、内側には管腔細胞が形成されていることがわかった。これにより、筋上皮細胞から形成された細胞塊は、汗腺様の構造体を形成していることが明らかになったといえる。

研究グループは今後、この汗腺様の構造体を利用して、汗腺の発汗機能の解析を行っていくとしている。

ヒト汗腺を構成している4つの細胞集団

汗腺幹細胞から再生された汗腺様構造体