大日本印刷(DNP)は10月25日、トンネルや橋梁などの老朽化にともなって拡大するコンクリートのひび割れを検知するシステムを開発したと発表した。

国内のトンネルや橋梁などの社会インフラ構造物に対しては、自治体や事業者による定期的な点検が義務付けられているが、コンクリートの状態の把握には高価な機器やスキルを持った点検作業者が必要であり、そのコスト負担や人材不足などが課題となっている。

同システムは、外部の電波で起動するパッシブ型のICタグを内蔵した検知シートを、コンクリート表面の微小なひび割れ箇所に貼り付けて監視するというもの。ひびの拡大に伴い、検知シートのパターン回路が切れることでひび割れの進行を検知する。

検知シートには電池を搭載しておらず、バッテリー交換は不要。また、通信距離の長いUHF帯ICタグを使用しているため、数メートルの距離で読み取りができる。設置した複数の検知シートの情報は、専用リーダーライターで一括で読み取り、パソコンなどに転送することで点検記録を作成する。

また、検知シートには同社開発の接着剤を使用。太陽や蛍光灯などの光に含まれる紫外線の照射によって、粘着性を有する接着剤の硬化が進むという。

同社は、同システムを使用した実証実験やマーケティング活動を行い、2018年春の製品化を目指していくとしている。

コンクリートのひび割れを検知するシステムのイメージ