小田急電鉄は20日、新型特急ロマンスカー70000形の製造決定を発表した。岡部憲明アーキテクチャーネットワークがデザイン設計を担当し、コンセプトは「箱根につづく時間(とき)を 優雅に走るロマンスカー」。2018年3月の営業運転開始をめざす。

小田急電鉄の新型特急ロマンスカー70000形(画像はすべて小田急電鉄提供)

新型特急ロマンスカー70000形は7両固定編成(ボギー車、編成長約142m)で、2編成製造し、車両完成は2017年11月を予定している。先頭車(1・7号車)は展望車両となり、ロマンスカーの象徴である展望席を16席ずつ配置。荷棚は設けず、広々とした空間とダイナミックな眺望を創出する。車体側面の窓には高さ1mの連続窓を採用。50000形(VSE)・60000形(MSE)より30cm高くし、流れ行く沿線の四季折々の風景を楽しめるようにした。

乗り心地の向上も図り、左右方向の車両振動を低減する「電動油圧式フルアクティブサスペンション」を編成の全車両に搭載。車内においては、訪日外国人旅行者の増加に対応し、各車両(4号車は除く)の出入口デッキ付近にラゲージスペース、座席の下に国内線機内持込みサイズ(55cm×40cm×25cm以内)の荷物を収納できるスペースをそれぞれ設置する。車内Wi-Fiシステムも導入し、展望ライブ映像を楽しめるコンテンツも配信する。

快適性向上のため、ゆったりトイレを設置するほか、すべての洋式トイレに「ウォシュレット」を搭載。バリアフリーに配慮したユニバーサルデザインも採用し、多様な利用者のニーズに対応した設備とする。安心・安全のための施策として、防犯カメラを出入口デッキ部と客室内に設置。乗務員室で客室内の映像をリアルタイムで確認できるという。

先頭車(1・7号車)の車体断面イメージ

中間車(2~6号車)の車内イメージ

小田急電鉄は2018年3月、複々線の完成にともない実施予定のダイヤ改正にて、特急ロマンスカーの輸送サービス向上を明らかにしている。通勤時間帯の特急ロマンスカー増発に加え、箱根観光輸送の強化も図り、土休日の特急「スーパーはこね」は展望車両を備えた新型特急ロマンスカー70000形および50000形(VSE)を使用。新宿~箱根湯本間の所要時間を最速70分台(現在は最速80分台)へ短縮すると発表している。