お茶などのカフェインを含む飲料は短期的に血圧を上げるとされている

心筋梗塞や脳卒中といった疾患と密接に結びついている高血圧。日ごろからの血圧コントロールが健康な毎日を過ごすうえで重要になってくるが、減塩をしたり定期的な運動をしたりというルールを順守するのは大変。そこで、「食べる食材を意識する」ことで血圧を下げる考え方に今、注目が集まっているようだ。

海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「血圧と食生活」に関する研究を紹介するコラムが掲載された。食生活を見直すと血圧が改善されることが、オーストラリアの研究チームによって明らかになったという。

高血圧は心臓疾患や脳卒中、腎臓疾患などのリスクを高めるが、その兆候がないため「サイレントキラー」と評されている。しかし、ニューキャッスル大学(オーストラリア)の3人の栄養学者が提唱する「3つの食べるべき物」と「4つの過度の摂取をすべきではない物」を知り、それらに基づいた食生活を実践できれば、こういった疾患を予防するのが可能とのこと。

食べるべき食品3つは以下の通りだ。

押し麦(ロールドオート)

オート麦が健康な成人400人の最高血圧と最低血圧に与える影響を調べた結果、一日に60gの押し麦か25gのオートブランを食べた人たちは、最高血圧が2.7mmHg、最低血圧が1.5mmHgも他の人たちよりも低かった。この分量の押し麦やオートブランには4gのβ-グルカンと呼ばれる繊維が含まれている。繊維摂取が1g増えれば最低血圧が0.11mmHg下がった。推奨される一日の繊維摂取量は男性30g、女性25gだ。

ビートルート

ビートルートには無機硝酸塩が豊富に含まれている。これは消化の際に一酸化窒素となって動脈を拡張する働きがあり、最近の研究では最高血圧も最低血圧も下げる効果があることが分かっている。

ビタミンC

ビタミンCは新鮮な野菜や果物に含まれ、最高血圧・最低血圧とも下げる効果がある。しかし、腎臓疾患のリスクがある人は注意すべきだ。過重摂取のビタミンCが腎臓で排せつされ、腎臓結石の原因にもなる。

過度の摂取を避けるべき食品は以下の4つだ。

塩分

塩分の摂(と)りすぎは高血圧のリスクを高める。成人の塩分必要摂取量は一日に1.2gから2.4gだ。オーストラリアでは、男性の10人に7人、女性の10人に3人が塩分摂取過多になっている。3,230人を対象に行われた研究では、一日の塩分摂取量を4.4g日まで減らすと、収縮期血圧を4.2mmHg、拡張期血圧を2.1mmHg下げられたという。

アルコール飲料

飲酒しない人と比較して、一日1杯以上のアルコール飲料を飲む人は、最高血圧・最低血圧とも高めだ。大量の飲酒は男性の高血圧リスクを高め、程度は低いものの女性でも同様の傾向が認められる。

甘草

甘草を食べて高血圧になるのはまれだが、事例はある。甘草キャンディにはグリチルリチン酸を有する甘草の根が含まれていることがあるが、GZAは高血圧につながるカリウムの損失などを引き起こす。最近の甘草キャンディには甘草の根はほとんど含まれていないが、購入時は食品ラベルを確認するとよい。

カフェイン

コーヒーやお茶、コーラ、栄養ドリンクにはカフェインが多く含まれており、多く摂取すると短期的に血圧が上がるが、長期的な悪影響は見られない。人によって影響が異なる。

血圧が気になる人は、押し麦や野菜・果物などを食べる一方で、塩分を多く含む食事やアルコールを恒常的に摂取するような食生活は控えるようにしよう。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。