ヴァイナスは10月13日、同社が提供しているクラウドコンピュータ利用支援システム「CCNV」の機能拡張の方向性としてディープラーニングへの対応強化を2017年に行うことを明らかにした。

同日開催したプライベートカンファレンス「VINAS Users Conference 2016」において、同社の代表取締役社長である藤川泰彦氏が明らかにしたもので、高速チューニングした数値解析アプリケーションをクラウドHPCサーバーで年間定額料金でオンデマンドに計算実行できるSaaS形式のサービスである「ALA(Application Library Access)」に組み込む形でディープラーニングのライブラリなどを2017年春より提供していくというもの。これにより、計算化学とCAEのそれぞれの成果を相互にフィードバックできるようになり、メッシュや計算結果による妥当性の検討や、形状設計のための推測などが実現できるようになるという。

続々と機能拡張が続く「CCNV」。バージョン2.5よりALAがスタートし、2017年春にはディープラーニングのサポートが始まる計画だという

また、同氏は今後の強化サービスとして「不確かさ評価」を挙げ、12月22日に東京大学にて開催される機械学会講習会に出展する予定であるとした。さらに、2016年9月には、京都大学大学院医学研究科の奥野恭史 教授が代表となって設立を進めているAIコンソーシアム「Life INtelligence Consortium」の発足検討会にも参画したことを明らかにし、医療分野におけるHPCの活用促進に向けた取り組みや、ITと創薬の連携強化といったことを目指した取り組みを進めていることを強調した。

医療分野でのHPCやCAEの活用は始まったばかりで、ヴァイナスとしても独自でAIの構築合理化を研究しているという

なお同氏は、オープンソースを活用する最大のポイントは拡張性の高さと目標達成レベルの向上としたほか、機能とプロセスの統合により、結果として、ソルバ運用コストや最適化設計コストの低減がもたらされるとし、これらを実現できるような取り組みを今後も推進していくとしていた。