ベルギーの独立系研究機関imecおよび独カールスルーエ工科大学(KIT)、独太陽エネルギー水素研究センター(ZSW)は、共同でペロブスカイトと銅インジウムガリウムセレン(CIGS)を積層し、変換効率17.8%となる薄膜太陽電池モジュールを試作したと9月27日付け(ベルギー時間)で発表した。

同積層モジュール(3.76cm2)(図参照)はぺロブスカイトをトップ・モジュール、CIGSをボトムモジュールとして用い、それぞれ7枚および4枚のモジュールを用いている。

太陽光スぺクトルの高エネルギー領域はトップの半透明ぺロブスカイトモジュールで吸収し、低エネルギー側の光は、ぺロブスカイトを透過し、ボトムのCIGSセルで捕捉される仕組みで、この結果、試作品ながら17.8%という変換効率を実現したが、これは、imecが持つぺロブスカイトモジュールの15.3%という世界記録を超え、ZSWのCIGSモジュールの持つ15.7%をも超す値となったという。

KITの研究グループのトップを務めるUlrich Paetzold氏によれば、今回の成果は研究のほんの入口であり、2017年には変換効率25%を超す多重接合ぺロブスカイト/CIGS太陽電池モジュールの開発を目指すとしている。研究グループでは、太陽電池モジュールの変換効率向上のために光学系に焦点をあてた研究をしており、特殊ナノフォトニック材料を開発中だという。

また、imecの薄膜太陽電池研究グループを率いるTom Aernouts氏は、「今回の成果は、3つの研究機関の密接に連携した協業によるものである。imecの強みであるぺロブスカイト技術は、積層モジュールのトップモジュール形成に貢献している」とコメントしている。

さらに、CIGS太陽電池単体として22.6%という世界記録を保持するZSWの取締役であり太陽電池部門のトップであるMichael Powalla氏は、「2種類の先進薄膜技術をエレガントに結合したのがポイントであり、対費用効果の大きな太陽電池を顧客に提供できるようになるであろう」と語っている。

なお、技術の詳細は9月26日~28日に伊ジェノバで開催された第2回ぺロブスカイト太陽電池とオプトエレクトロニクスに関する国際会議(International Conference on Perovskite Solar Cells and Optoelectronics (PSCO-2016)にて発表された。

図 積層したペロブスカイト・CIGS型太陽電池モジュール。トップにペロブスカイト、ボトムにCIGSを適用 (出所:imec)