ネットアップは10月4日、都内で記者会見を開き、中小規模事業者やリモートオフィス向けのエントリーモデルのオールフラッシュストレージである「NetApp E2800」、ハイエンド向けオールフラッシュストレージ「NetApp AFF A700」ミッドレンジ向けの「NetApp AFF A300」を発表した。またストレージOS「ONTAP 9」の機能を強化した。

オールフラッシュストレージ「NetApp E2800」

E2800は、ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウドで構成する第3のプラットフォームにおけるデータ解析に向けた製品。4~8ノードのIAサーバに接続するような小規模環境など多様なワークロードが混在する用途に適したプラットフォームとなっているほか、組込型管理ツールとして新しい「SANtricity System Manager」を備える。

「NetApp E2800」

また「Splunk + E-Series」バンドル方式ソリューションを提供するほか、米Zaloniとの提供によるデータレイク管理とデータライフサイクルモビリティソリューションを提供。具体的に、データレイクは多種多様かつ膨大なデータを管理するためのアーキテクチャとして関心が高まっており、企業がモバイル/クラウドベースのアプリケーションへの移行や、ビッグデータ向けのリアルタイム配信手段としてのIoT(Internet of Things)への取り組みが加速する中、データレイクによるアプローチが有効になるとしている。

Zaloniと提供する新しいアプローチでは、SANストレージであるNetApp Eシリーズとクラウドベースのオブジェクトストレージである「NetApp StorageGRID Webscale」を活用することで、組織はオンプレミス/オフプレミス、またはその両方を組み合わせた環境でデータレイクを論理的に視覚化できるという。さらに、Zaloniが提供する「Bedrock Data Lake Management Platform」により、データレイクに蓄積されているデータのエンドツーエンドの管理とガバナンスの確保を可能としている。

「NetApp E2800」の概要

そのほか、新たにMongoDBならびにCassandraのNoSQLデータベースとの検証も実施。この検証の結果、NoSQLデータベースで、障害時でもより短い時間での復旧や一貫したパフォーマンスを発揮するなど、高パフォーマンス、復元性、拡張性を実証し、厳しいSLAや要件にも対応可能であることを証明したという。最新の検証済みNoSQLにはCouchbase、MongoDB、Cassandraが含まれる。

「NetApp E2800」 Express Packs

ハイエンド、ミッドレンジ向け製品を発表、「ONTAP 9」は機能強化

ハイエンド向けのNetApp AFF A700は、高いパフォーマンスと顧客のニーズに合わせた柔軟な設定を提供し、ミッドレンジ向けのAFF A300は、中規模環境でのオールフラッシュ利用に最適化されており、両製品ともに最新のストレージOSである「ONTAP 9」を搭載。

「NetApp AFF A300」

従来のネットアップ製品と比較して、最大で2倍のパフォーマンスを実現すると同時に、レイテンシを半減。さらに、10分以内のシンプルなセットアップ、優れた保守性に加え、マルチストリームの書き込み(MSW)と15TBのSSDにも新たに対応しているほか、パフォーマンスの向上としてクラスタの合計は最大700万IOPSだという。

また、フラッシュ利用に最適化されたインフラの実現に向けて、最新の32Gb Fiber Channel(FC)と40GbEによる接続に対応しているほか、12Gb SAS 3.0のストレージ接続にも対応。さらに、インラインデータ圧縮のほか、すべてのモデルで15TB SSDをサポート。

「NetApp AFF A700」におけるオラクルデータベースのパフォーマンス

加えて、1PBのストレージの場合、これまでは1万rpmの廃パフォーマンスHDDでラック2台以上が必要だったが、AFFは2Uのサイズでレイテンシ1ミリ秒未満のパフォーマンス、11分の1の設置面積と消費電力、調整不要のパフォーマンス、6カ月で投資の回収を実現するという。提供開始は2016年第4四半期を予定し、日本国内のネットアップのパートナーを通じて提供する。

一方、「ONTAP 9」は新機能であるNetApp ONTAP FlexGroupを提供。半導体やハイテク、エネルギー、メディア/エンターテイメントなどの業界で利用される最新世代のアプリケーションに最適な大規模環境向けの拡張性と、高いパフォーマンスを備えたNASのデータコンテナで、単一のデータコンテナを最大で20PB、4000億ファイルまで拡張できるという。

さらに、データ暗号化機能であるNetApp Volume Encryptionにより、ソフトウェア ベースのよりきめ細やかな、ボリュームレベルのデータ暗号化機能を提供。NetApp AFF、NetApp FAS、そしてソフトウェアデファインドストレージである「ONTAP Select」で稼働するあらゆる種類のデータを暗号化できるとしている。

また、新たにMicrosoft Azureに対応。ONTAP CloudはAzure上で稼働するソフトウェアデファインドストレージとして稼働し、クラウド上のデータの効率的な共有、移行、保護、管理にONTAPの先進的なデータサービスを利用できるほか、顧客はAzureのクラウドサービスと自社のデータ環境を統合することで、柔軟なインフラ環境を構築することが可能だという。

ネットアップ 代表取締役社長の岩上純一氏

ネットアップ 代表取締役社長の岩上純一氏は国内組織・施策の強化、拡充として「IoTなど第3世代にフォーカスし、ハイタッチ営業組織を再編するほか、『Partner Summit 2016』を全国7都市に拡大することでパートナー営業組織の拡充を図っている。また、営業、SE、マーケティング集結したSolidFire専任部門を新設した。これまでも提唱していきたが、常に革新的かつ実装性の高い技術で顧客の成功を支えるTrusted Advisorになる」と期待を込めた。