下段左から早見沙織、入野自由、山田尚子監督。上段左から潘めぐみ、悠木碧、小野賢章、石川由依。 (c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

大今良時原作による劇場アニメ「映画『聲の形』」の大ヒット御礼舞台挨拶が、去る10月1日に新宿ピカデリーにて実施された。イベントには石田将也役の入野自由、西宮硝子役の早見沙織、西宮結弦役の悠木碧、永束友宏役の小野賢章、佐原みよこ役の石川由依、川井みき役の潘めぐみ、山田尚子監督が登壇した。

悠木は「映画『聲の形』」を家族で観に行ったことを明かし、「開始10分で涙が止まらなくなり、終わって劇場を出る頃には頭痛がするくらい泣きました。その中でも(小学生時代の)硝子が砂をかけられるシーンが一番泣きました。伝えたいのに伝わらないもどかしさがありました」と述懐。また「親は親目線で観たらしく、観る世代でこんなにも見方が違うんだということも思いました。観終わったあと、誰かとディスカッションしたくなる、そんな作品です」と思いを語った。

「やーしょー(将也)と話しているシーンは全部好き」という小野は、「こうやって友達関係って作っていくんだなというのがすごく伝わって。だから僕は最後のトイレでの将也とのシーンが一番印象的です。真っ直ぐで、(嫌われるのを恐れずに)恥ずかしがらないで突っ込んでいく永束くんだからできたんだと思います」と2人の友情について触れる。

また硝子と植野による「バカ」のやりとりとその手話について、山田監督は「実は植野の手話は間違っていて『ハ、カ』になっちゃっているんです。濁点は手をスライドさせるんですが、それを硝子が教えてあげて、結果、植野に『バカ』って言ってしまっているような感じなんです」と明かすと、観客からは驚きの声が上がった。

最後の挨拶で、入野は「1人ひとりに届いていることを強く感じます。『伝えたい』という思い、作品のパワーだと思います。丁寧に1つひとつ積み重ねたシーンが沢山あるので、強めにアンテナを張ってみてもらえるとさらに楽しめるんじゃないかと思います」と語る。続けて早見は「監督が心象風景についてお話されていたのを思い出したんですが、将也の心は沈んでいても周りの風景は雲ひとつない青空や、澄み切ったキレイな風景で描かれているシーンがあります。たとえ自分がどんよりしていても、実は周りはそんなことないかもしれない、そんな気付きがありました」と思いを口にし、「皆さんにも劇場を出たあと、そんなふうに景色が変わるような気持ちになっていただけたらいいなと思います」と観客へメッセージを送った。

(c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会