「オルトレキシア」という病気をご存じだろうか。「健康」と信じる食べ物以外を受け付けられなくなる摂食障害のことで、美貌(びぼう)を誇るセレブやモデル、健康志向の人たちの間で増加しているという。

オーガニックフードやヴィーガン、断食などのナチュラル&ヘルシーなライフスタイルが支持され、毎日のようにSNSで拡散されていく今こそ、情報に流されず、その善しあしを見極める目を養うべき。オルトレキシアについての知識やその弊害を学ぶことで、正しい食事のバランス感覚を身につけるようにしよう。

新型摂食障害「オルトレキシア」の特徴とは

オルトレキシアとは、健康的な食事以外を信じられなくなる新型の摂食障害のこと。不健康なものを摂取することに過剰な不安や恐怖心を抱き、制限を破ってしまうと罪悪感にさいなまれたり、嘔吐(おうと)したりしてしまうことも。

そうやって「健康によいものだけ」を食べ続けるようになり、その結果、ビタミンやミネラル、たんぱく質といった健康的な体に不可欠な栄養素が不足。さまざまな病気が引き起こされやすくなる。

一般的な摂食障害との大きな違いは、カロリーや量ではなく「質」に異常なまでに執着してしまうことにある。添加物やグルテン、糖質、遺伝子組み換え食品、動物性食材などは一切口にしないなど徹底的に制限し、極端な偏食になっていく。

それでも本人は、「よいものしか口にしていないから私は健康だ」という自負があるため、その思想にとらわれて摂食障害であることになかなか気づきにくいそう。食に対する意識を改善しないことには、治すことが難しい現代病なのだ。

真面目な人ほどなりやすい!?

真面目な健康志向の人ほど、オルトレキシアになりやすいとされている。なかなか自覚しにくいため、気づいたときには症状が進行していることも。以下にまとめた項目が多数当てはまるようならば、一度医師に相談してみるのもいいだろう。

■美と健康のために一切口にしないものがある
■食材の全成分表示をチェックしないと不安で食べられない
■調理法や食材が気になって外食に行けない
■他人の手料理を食べられない
■健康的な食事をとっていない人はダメ人間だと思う
■不健康な食事をとると罪悪感にさいなまれる
■食品の品質を徹底的に調べないと食べられない

スーパーフードをふんだんに使ったサラダや、ヘルシーでおしゃれなスムージーなど、モデルやセレブたちの食事風景が毎日のようにSNSで拡散されていく。そのため、真面目で美意識が高い人は「こういう食事をとらないから私はキレイになれないんだ」と受け取ってしまうのも無理はないのかもしれない。

しかし、品質ばかり気にして栄養素が不足してしまっては、食へのこだわり自体が無意味なものになりかねない。バランスのとれた食事なしに本当の健康は得られないもの。「もしかしたらオルトレキシアかも……」と気づいたら、品質重視からバランス重視へと意識を変えてみたり、場合によって医療機関を受診したりするようにしよう。

からだエイジング