日本ナショナルトラストと大井川鐵道は28日、日本ナショナルトラスト所有の蒸気機関車C12形164号機の動態復元をめざすことで両者が合意したと発表した。日本ナショナルトラストが所有権を保持したまま、大井川鐵道が主体となって復活工事やその後の車両の運行・管理などを行う方式で活用を図る。

大井川鐵道新金谷駅構内に展示されているC12形164号機

この合意に際し、両者は9月1日付で「鉄道文化財に関する寄託契約」を締結。C12形に加え、スハフ43形特急用3等客車2号・3号、オハニ36形荷物合造客車7号といった歴史的客車3両の活用も契約に盛り込まれた。

C12形164号機は1937(昭和12)年製で、さまざまな経緯を経て1987(昭和62)年に日本ナショナルトラストの所有となった。大井川鐵道は同じ年のうちに前述の客車3両とともにこれを預かり、「トラストトレイン」の名称で年間5回程度運行させてきた。しかし2005(平成17)年、機関車にもATSの設置が義務づけられ、追い打ちをかけるようにその後の検査でボイラーの不具合が見つかったことから、運用を外れて休車扱いに。現在は新金谷駅構内の転車台上に展示されている。

大井川鐵道はC12形164号機の復活の見通しについて、「約10年にわたり稼働していなかったこともあり、まずは全体的な車両状況の調査に着手する予定です。この調査の結果を踏まえ、今後の資金調達方法、工期計画、永続的な保存運転のために必要なSLの部品提供を蒸気機関車保有関係先へ打診するなど、総合的に具体的な策を検討していく予定です」と説明。客車については当面、SL列車「かわね路号」に連結して運転する現在の対応を続け、最終的にはC12形164号機が旧型客車3両を牽引する「トラストトレイン」の復活をめざす。