JR西日本は30日、三江線江津~三次間(108.1km)の鉄道事業廃止届出書を国土交通大臣へ提出したと発表した。廃止予定日は2018年4月1日とされた。

三江線では現在、キハ120形のラッピング車両「三江線神楽号」も運行される

同社は今月1日、「三江線の鉄道事業はどのような形態であっても行わない」という判断に至り、社内手続きを経た上で9月末日までに廃止届出を行うと発表していた。

今回の発表でも、廃止を必要とする理由として「『拠点間を大量に輸送する』という鉄道の特性を発揮できない」「通院、買物など市町内で完結する少量かつ多様な移動が実態であり、鉄道が地域のニーズに合致していない」「三江線活性化協議会において、5カ年の取り組みにもかかわらず、利用者の減少に歯止めがかかっていない」「自然災害リスクの高まりは当線区においても無関係でなく、バスにて代替可能な鉄道に対し、被災と復旧の繰り返しは社会経済的に合理的でない」の4つを挙げた。

三江線は昭和初期に江津~浜原間(旧三江北線)、昭和30年代に三次~口羽間(旧三江南線)が開業し、全線開業は1975(昭和50)年8月。1987年4月の国鉄分割民営化によりJR西日本へ事業が継承されたが、その後も「道路整備やマイカーシフトなどの影響により、ご利用状況が人口減を上回る状況」だったという。

近年は路線の維持・存続のための経営努力や増収策に加え、三江線活性化協議会において、2011年度から5カ年計画で地域と一体となった利用促進の取組みも展開されたとのことだが、2014年度の輸送密度は1日あたり50人と、JR発足時の約9分の1まで落ち込んでいた。2006年・2013年の2度にわたって大規模災害による長期間運休を余儀なくされるなど、激甚化する災害リスクの高まりも看過できない状況となっていた。