東京海洋大学、九州大学、環境省は9月26日、南極海でマイクロプラスチックの浮遊を確認したと発表した。

同成果は、九州大学と東京海洋大学の研究グループによるもので、近日中に科学誌「Marine Pollution Bulletin」に掲載される予定。

廃プラスチックは、漂着した海岸での紫外線や熱による劣化で次第に微細片化したのち、再び海洋を漂流していく。大きさが5mmを下回った微細プラスチック片はマイクロプラスチックと呼ばれ、表面に有害物質を吸着する性質があるが、それが誤食によって海洋生物に取り込まれてしまうなど、海洋生態系への悪影響が危惧されている。

マイクロプラスチックはこれまで、世界各地の沿岸域や日本海などの縁辺海、太平洋や大西洋、北極海での浮遊が確認されているが、今回、東京海洋大学の練習船「海鷹丸」での南極海の調査により、南極海に設定した全5測点から計44粒のプラスチック粒子が発見された。このうち38粒は南極大陸に最も近い2測点で見つかり、マイクロプラスチックの浮遊密度(深さ方向の鉛直積分値)は、最も多い測点で28万6000粒/km2となった。

同研究グループは、「南極海でのマイクロプラスチックの発見によって、海洋プラスチック汚染が全地球上に広がっている現実を確認することができました」とコメントしている。

観測点位置と、マイクロプラスチック採集数から推定した単位面積当たりの浮遊密度分布