ネットワンシステムズは9月23日、三菱重工エンジン&ターボチャージャの相模原地区第三工場にIoT(Internet of Things)活用を可能にするネットワーク基盤を構築したと発表した。同環境は9月から稼働しているという。

相模原地区第三工場は、世界6カ国の生産拠点で新しい生産技術を開発・展開するマザー工場の役割を担っており、構成部品の切削・研削・検査、およびターボチャージャの組立を行っている。

ターボチャージャの内部では1分間に20万回以上の回転が発生することから構成部品には高い精度が求められ、製造品質向上とトレーサビリティの観点から、製造する各部品の計測データが保存されている。

同社は、工場の製造ラインをネットワーク接続することでIoT技術を活用できる基盤を整備し、これら計測データについてリアルタイムでの収集・ひもづけ・分析を実現することで工場の生産性を向上する仕組みを検討していた。

この課題に対し、ネットワンシステムズは、シスコシステムズの産業環境向けEthernetスイッチ「Cisco Industrial Ethernet(IE)シリーズ」を用い、相模原地区第三工場内の5種類の製造ラインの計測データの収集・ひもづけが可能なネットワーク基盤を構築。さらに、工場外からもこれらデータを活用することを目的として、ファイアウォールを用いてセキュリティを強化し、外部と安全なネットワーク接続を可能にした。

三菱重工エンジン&ターボチャージャの相模原地区第三工場のIoT活用を可能にするネットワーク基盤

同ネットワークでは、コストと工場環境における耐障害性のバランスを考慮して、製造ライン内のネットワークはコストを優先するスター型構造、製造ライン間を接続するバックボーンネットワークには機器障害の際にもネットワーク停止時間をミリ秒単位で抑えられるリング型構造を採用した。

これにより、三菱重工エンジン&ターボチャージャは、製造部品の各種計測データをひもづけた上でネットワーク越しに迅速に確認できるようになり、より一層のトレーサビリティ向上を通じた競争力強化を実現する。

将来的には、ネットワークで収集する計測データを増加させ、生産ラインに不具合が発生する予兆を見つけて対応できるようにし、ライン停止や不良品発生を防ぐことで生産効率の向上を図るとしている。