金融庁と日本経済新聞社は9月20日・21日、フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマとした「FinSum フィンテック・サミット」を東京・丸の内で開催。シンポジウム(21日)の開会にあたって、麻生太郎 副総理・財務大臣・金融担当大臣が挨拶した。

麻生太郎 副総理・財務大臣・金融担当大臣

「テクノロジーの発展が金融に限らず世界を変えようとしています。昔は飲み会でおじさんたちが財布を出して何千円ってやってましたけど、今若い人たちのあいだで割り勘というとお互いにスマートフォンを使って電子決済でできる時代になった。銀行の支店もそのうちなくなりますよ。ATMとスマートフォンがありさえすれば、いわゆるスマートフォン自体が支店とほとんど変わらないようになりますから。

フィンテックに合わせて、システムが変わる、時代が変わる、たぶん人も変わらざるを得ない。金融庁としてもそういったものに合わせて対応を考えていかなければならない。今年、銀行法を改正しました。銀行も改正によって、いろんなテクノロジーといっしょに仕事ができるようになる。背広・ネクタイの銀行のおじさんが、Tシャツ・ジーパンのおにいちゃんといっしょに仕事ができる。その2つが組み合わさってできるものが新しいものなんだと思います。

世間一般でフィンテックを理解している大人はほとんどいません。その人たちが不安になったり、なんとなく不信感を抱いたりというようなことがないように、広く理解される努力をしてもらわなければならない。極めて異端なものに見られる可能性もありますけれども、その中から新しいものが生まれます。

みなさんは新しく発明されたものを現場で使えるようにし、それが便利なものとして愛され、新しいツールとして広く世間に迎えてもらえるようにしてください。そういったものがどんどん出てくる場に日本は必ずなっていく。アイデアだけではなく、それをつくれるものづくりの技術、両方あって初めて普及していくものだと思っています。フィンテックがわれわれの生活を大いに快適にし、そして便利にしてくれる、安心して生活できる一助になってくれることを心から期待しています」(麻生 副総理・財務大臣・金融担当大臣)

フィンテック企業らが集結

FinSumではシンポジウムをはじめ、ワークショップ、学生が金融業界の課題解決法を提案する「アイデア・キャンプ」、スタートアップ企業によるコンペ「ピッチ・ラン」などが行われた。

フィンテックサービスが多数展示された「フィンテック・アイランド」

フィンテックサービスの展示コーナー「フィンテック・アイランド」には、独自の暗号通貨を発行・取引できる「SmartCoin」(Orb)、ビットコインの取引を視覚化した「chainFlyer」(bitFlyer)、FX取引を疑似体験できる投資教育アプリ「かるFX」(Finatext)、銀行口座に接続できる自動貯金サービス「finbee」(インフキュリオン)、家計簿アプリ「Moneytree」(マネーツリー)、スマホを使った決済アプリ「Origami Pay」(Origami)、経費精算を効率化するクラウド会計ソフト「freee」(freee)、ロボアドバイザーが投資のポートフォリオを作成してくれる「8 NOW!」(エイト証券)、金融についての質問に人工知能が答える「DEEP OCEAN」(金融工学研究所)などが並んだ。また、金融商品をアドバイスしてくれるロボット「ロボコット」(明治安田生命)、LINEで銀行口座の残高を紹介できるサービス他(みずほフィナンシャルグループ)、スマホを使ったコンビニ収納サービス(ブリースコーポレーション/NECと三井住友フィナンシャルグループの共同出資会社)も展示されていた。