免疫生物研究所(IBL)は9月13日、筋ジストロフィーなどの筋疾患や、スポーツなどによる筋肉の損傷・崩壊により尿中に排出されるタンパク質「タイチン」の分解断片に対するサンドイッチELISA法を用いた尿による測定キット「Titin-N fragment Assay Kit-IBL」を発表した。販売開始は10月頃を予定しているという。

タイチンは筋肉細胞に存在するタンパク質で、その断片が筋ジストロフィー患者、特に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)と呼ばれる患者の血清や尿中で高濃度に検出されることが報告されている。DMDは筋線維の変性・壊死を主病変とし、進行性の筋力低下をみる遺伝子疾患で、4歳頃に臨床症状が現れるが、現在、筋肉損傷状況の確認は、血中クレアチンキナーゼ(CK-M)の測定で行われている。同手法では、定期的な採血が必要となり、小児にとっては負担が大きいことが課題となっていた。

同キットは、検体の採取が容易な尿から、タイチンの分解断片であるTitin-N fragmentを高感度に検出できるもので、治療効果判定、病態の確認を正確かつ容易に行うことができる。その他、スポーツ、筋肉労働などによる筋肉の損傷、崩壊についてもモニターできることから、多様な用途が想定されるという。

同社は今後、体外診断用医薬品の製品化に向けて、研究開発を進めていくとしている。