大日本印刷(DNP)は9月13日、ナノインプリント用の複数のテンプレートを高精度でつなぎ、大面積対応の部材の量産を可能にする技術を開発したと発表した。

ディスプレイや光学製品用の部材のほか、エネルギーやライフサイエンス関連の部材などで、新機能の付与や性能の向上を目的とした超微細構造の採用が進んでおり、基材上の樹脂などに金型を圧着して、nmからμm単位のパターンを安定的に転写する「ナノインプリント」に対する大面積化が求められるようになってきている。

これまで数十nm単位のパターンによる超微細加工は、半導体製品用フォトマスクなどの15cm角程度のサイズに限られており、大面積に展開するにはテンプレートをつなぎ合わせる必要があった。しかし、つなぎ目部分に段差が生じるという課題があり、この段差を数十nmに抑えたとしても、リソグラフィ用のレジストを用いたインプリントでは段差が影響して不具合が発生してしまうため、生産への利用は困難な状況となっていた。

この課題に対して同社は今回、数十nmの超微細な凹凸のパターンを持つテンプレートを精度良くつなぐ技術を開発し、従来テンプレートのつなぎ目部分で生じていた数十nmの段差をなくすことに成功。これにより、フォトマスクやナノインプリントリソグラフィのテンプレートと同等の微細形状を持ったテンプレートを大面積化することが可能となるほか、リソグラフィ用のレジストを用いた大面積でのインプリントで生じていた、段差の影響による不具合も解決可能となった。

同社は今後、同技術をもとに大面積化対応設備の導入などを進めていくとしている。

写真はテンプレートの断面図で、上がつなぎ目部分に段差のある状態(矢印部分)、下が新技術で作製したつなぎ目部分の状態(矢印部分)