ルネサス エレクトロニクスは9月13日、米インターシルを買収すると発表した。買収額は約32億ドルで、買収完了は2017年上半期の予定。買収資金は手元資金で充当し、現時点で新規の借入や増資は想定していない。

取引の概要(出所:ルネサス)

インターシルは主に、産業やインフラ、車載、航空宇宙など、信頼性や性能が重視される市場向けにパワーマネジメントICなどのアナログ半導体製品を提供している。2015年12月期の年間売上高は約5億2000万ドル。

呉文精 代表取締役社長兼CEO

本社で開かれた記者会見に登壇したルネサスの呉文精 代表取締役社長兼CEOは今回の買収がもたらすメリットについて「マイコン中心のルネサスとアナログパワーIC中心のインターシルで補完性があり、良い組み合わせだ。低電力でマイコンを動かすというのは非常に重要となる」と語り、製品を組み合わせることでソリューション提案力の強化を図ることができるとした。

買収のメリットおよび両社の売上構成。製品別、分野別、地域別、販売チャネルにおいて補完性があるとしている(出所:ルネサス)

呉CEOはさらに「インターシルは汎用製品をうまく売っている。汎用で枯れたものは儲からないと思うかもしれないが、テキサス・インスツルメンツもそこはうまくやっていて、最先端製品ばかりやっていても収益の回収がうまくできない。インターシルは枯れたものを売って収益を稼ぐのはうまいので、我々も学んでいきたい」とコメント。製品だけでなく、汎用製品ビジネスにおけるインターシルのノウハウ面にも期待感を示した。このほか、両社が持つ販売ネットワークの活用を通じた販売の拡大もメリットの1つに挙げ、これらの買収メリットを活かすことで数年後には年間1億7000万ドルのシナジー効果を見込めるとした。

財務面でのシナジー (出所:ルネサス)

顧客以外のステークホルダーに対しては、より競争力の高い製品が開発できればパートナー企業もメリットを享受できるとしたほか、米国企業がグループに加わることでグローバル化が進むとした。「今後、社内の経営会議は全部英語でやる。本社が閉鎖的な日本村では、グローバル化がうまくいかない。意思決定のプロセスが海外からみてもわかりやすい仕組みを作ることが重要。その中で、ルネサス、インターシル両社の社員がより大きなチャンスが与えられる」(呉CEO)。

顧客、パートナー、従業員、株主に対するメリット (出所:ルネサス)

今回の件はルネサスが発表する前に報道されていたが、呉CEOによれば「最後のところで競争があり、その中でギリギリの価格で買収することができた」とのこと。買収に成功した理由としては「インターシルはここ3年くらいで非採算事業をクローズし、戦略分野に資源を集中して、過大なコストを徹底的に下げるという活動をしてきた。ルネサスも過去3年で固定費を下げて、戦略セグメントで伸びる準備ができたところ」と語り、製品面での補完性に加えて両社の事業状況が似ていたことも買収を後押ししたとする。

今後の買収戦略については「今後も積極的に声をかけていき、我々に魅力があれば売りに出ていない会社でも"一緒にやろう"となると思うので、そういう意味では今回は良いサクセスケースになった」(呉CEO)と語った。