オートデスクは9月7日、建設プロジェクトで使用される2Dもしくは3Dで描かれた図面データなどの効率的な保存、閲覧、管理、編集、共有などを提供するクラウドサービス「Autodesk BIM 360 Docs(BIM 360 Docs)」の販売を開始した。

大規模な建設プロジェクトになるほど、多くの関係者が複数年にわたって、さまざまな場所でさまざまな業務をそれぞれのチームに分かれて担当することになるが、各チームごとに作成された設計図書などの情報は、企業ごとに異なるルールで作成されることもあり、情報共有や資産の再利用の妨げになるといった課題となっていた。

BIM 360 Docsは、2Dの図面や3Dモデルなどの建設に関わるさまざまなBIM情報の管理を目的に、主要国の建設会社やビルオーナー/不動産デベロッパーなども交えて開発されたもの。プロジェクトに関わるデータを作業する領域と、プラン/施工図と名づけられたデータを公開するスペースに分けることで、データに対する安全性を確保しつつ、Webブラウザで手軽に登録されたデータを閲覧することを可能としている。登録可能なデータは、図面やBIMデータのほか、文書など、さまざま形式のものに対応しており、プロパティ情報などの参照も可能なほか、各種データに対するアクセス権限の設定なども可能となっている。

建設業務に関わるすべてのプロジェクトチームにBIMの恩恵を提供することが今回の取り組みの1つの目的となっている

また、効率のよいデータ共有を目的に、図面やモデルの上にマークアップ(朱書き)やコメントを入力することが可能であり、ピンを打ち、作業指示を入れる、といった使い方も可能となっている。さらに、過去の図面などとの比較機能もあり、どういった修正が施されたのかを、図面を透かして比較することなどができる。

加えて、図面間の相互関係を自動的に作成し、平面図、断面図などを登録するだけで相互関係のリンクを構築することが可能。配置図の中にリンクを埋め込み、必要な図面間の行き来を行うといったことも可能だ。

2D、3Dを気にせずに統合管理することが可能

エンドユーザーがクラウド上のサーバにアクセスするとイメージのみの閲覧となるため、情報漏えいを防ぐことができる。また、ロールバック機能により、なにかが起きたとき、以前の状態に戻すことも可能となっている

同社では将来の姿として、世界中でBIMの義務化が進みつつあることを踏まえ、APIエコノミーとして、クラウドサービスをいろいろなところでつないでいくという時代への対応を目指しており、クラウドサービス開発環境プログラム「Forge」を活用した他のサービスからのシームレスな連携環境の構築を目指しているという。自社サービス間のみならず、外部にもつなぐプラットフォームへと発展させていきたいとしている。

Forge APIを活用してプラットフォームとして活用できるようになることで、さまざまなものとつながることが可能となる

AUTODESK BIM 360のワークフロー図。設計から施工管理・品質管理まで一括して活用することが可能

なお、価格については、ユーザー規模によって変化するため、個別案件ごとの見積もりとしている。