日立製作所と第一生命保険は9月6日、両社の持つ保険・医療などの分野における技術やノウハウ・知見を組み合わせて、「医療ビッグデータ」を生命保険事業に活用するための共同研究を開始したと発表した。将来の疾病罹患や予後の状況を予測するモデルの構築などを行うことで、「保険アンダーライティング機能」(保険の引き受け・支払い査定機能)の高度化や、新たな保険商品の開発などを目指す。

今回、両社における共同研究・取り組みのテーマは、個人の健診結果と健診受診後の入院・手術などとの関係を分析し、将来の疾病罹患の予測に加え、重症度や続発症、併発症など予後の状況も予測するモデルの構築を目指す。第一生命が有する保険の引き受けに関する医学的知見・ノウハウと、日立が有するデータサイエンススキル・ノウハウの融合による両社の医療データ・サイエンティストの育成・強化を図る。

また、第一生命では今回の共同研究を受け、保険アンダーライティング機能の高度化などを目指し、引き受け範囲の拡大と商品・サービスなどの開発への応用、最先端解析技術の活用研究に取り組む。

引き受け範囲の拡大は、将来の疾病罹患を予測するだけでなく、その重症度や予後まで予測することで、顧客のリスクを詳細に把握し、これまで持病や病歴などを理由に保険へ加入できなかった顧客にも加入可能な仕組みを検討。

商品・サービスなどの開発への応用では、蓄積したデータから介護や高額医療費を必要とする疾患につながりやすい因子を解析し、疾病予防、健康増進に資する情報提供のほか、新たな商品・サービスなどの開発を検討している。

最先端解析技術の活用研究は、医療ビッグデータの高度な解析に向けて、AIなどの最新統計技術を研究する。第一生命では、今回の共同研究を通じ、健康寿命の延伸につながるサービス・サポートの強化や生命保険事業のイノベーション創出に向けた取組みを進めていく。また、日立は健康・医療に関するビッグデータ分析の知見を蓄積し、健康・医療について先進的な取組みを継続するとともに、今後もステークホルダーと協業し、ITサービスの開発・提供を推進していくという。