NTTデータは5日、世界初になるというプロ野球球団が監修したVR技術を用いたプロ野球選手トレーニングシステムを開発、2017年より運用を開始することを発表した。

システムは、東北楽天ゴールデンイーグルスを運営する楽天野球団が独自に取得した投球データと全周囲映像データを3次元位置へと正確に融合・合成する"スポーツ一人称視点合成技術"(開発、NTTメディアインテリジェンス研究所)により実現。ヘッドマウントディスプレイを通じて、実際に打席に立った目線で投球を視聴できる。

東北楽天ゴールデンイーグルス 今江敏晃選手のトレーニング模様と視聴イメージ(同社資料より)

個々の選手ごとに異なる打席内での立ち位置、スイング中の頭部位置の変化なども考慮した正確な映像は、プロ野球選手でも違和感のないシステムを実現。対戦する投手の特徴や投手攻略方法を、VRで事前に繰り返し習熟することが可能なため、効率的なトレーニングが可能になる。1シーズン約7カ月のデータ量は膨大なものになるが、システムではこれを簡易にVRコンテンツ化ができ、シーズン中に更新しながら利用できるという。

スポーツ一人称視点合成技術の概要(同社資料より)

同システムは、2016年シーズンを通して楽天の選手が装着しながら、クオリティのチェックや有用性の確認を行っており、同社ではプロスポーツチームが保有するデータとVR連携により、シーズンを通した選手の能力強化に使えるレベルでの運用取り組みは世界初になる、としている。なお、同社はファーストユーザーに楽天球団を迎え、2017年より商用サービスとして本格提供を開始する予定で、今後は商用サービスとして海外市場に向けて展開していく。