米Googleの決済サービス「Android Pay」が今秋にも日本にやってくると日本経済新聞が8月31日に報じている。9月にはAppleの決済サービス「Apple Pay」が日本に上陸し、間もなく発表される最新iPhoneでは「FeliCa」搭載が見込まれ、日本国内ですでに普及しているおサイフケータイのインフラがそのまま活用できるようになる。2016年は海外由来の決済サービスの相次ぐ上陸で賑やかな年となりそうだ。

Android Pay

同件は日経が報じた後に、朝日新聞など複数媒体が追跡取材を行ったニュースを報じており、確度が高いとみられる。Apple Payで利用されるカード情報の「トークナイゼーション」を行う技術はAndroid Payでも使われているもので、利用可能なインフラ面でも共通性が高いため、Apple Payの日本上陸とはすなわち、Android Payもまた日本にやってくるのは時間の問題ということを意味していた。Android Payはすでに米国以外にも英国、オーストラリア、シンガポールなどでサービスを開始しており、日本は海外勢では比較的早いタイミングでの投入となる。

Android Payの起動画面

Android Payの最大の特徴は、NFC (Near Field Communication)機能を内蔵したAndroid 4.4以上のOSを搭載した端末であれば、基本的にハードウェア仕様を選ばずに決済機能が利用できる点にある。日本のおサイフケータイはFeliCa技術に準じた「セキュアエレメント(SE)」を必要としており、Apple Payでもまた専用のセキュリティチップをハードウェアに内蔵している。ところがAndroid PayではARMプロセッサのTrustZoneを使って作成したセキュア領域に、決済情報である「トークン」をソフトウェア的に保持し、支払いの場面ではNFCを介してこのトークンで決済を行う。カード情報などの実体はクラウド側に保持されており、専用チップを用いないこの方式は「HCE (Host Card Emulation)」と呼ばれている。このHCEをサポートするのがAndroid 4.4以降のOSというわけだ。Microsoftは、このHCEの仕組みを使ってWindows 10 Mobileで「Microsoft Wallet」というモバイルウォレットのサービスを提供している。

クレジットカードまたはデビットカードを登録するとトークン化されたバーチャルカードが発行され、これを使って決済を行う

専用ハードウェアを搭載しないということで、間もなく日本に上陸することになるApple Pay+新型iPhoneの組み合わせとは異なり、現状のAndroid Payでは日本国内のFeliCaインフラを利用できず、現状国内ではごく限られた場所でのみ展開されている「NFC Pay」と呼ばれるType-A/B方式対応の非接触読み取り機でのみ決済可能だ。ただ、HCEにはFeliCa技術をサポートする「HCE-F」という仕様が存在し、最新のAndroid 7.0 Nougatでサポートされている。HCE-Fに実際に対応するサービスやハードウェアの展開状況はまだ調査中だが、これについては改めて報告したい。

また日経によれば、Googleは日本へのAndroid Pay投入にあたって三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と提携しており、当面は同社の発行するデビットカードを登録してAndroid Payとして国内ユーザーが利用可能になる。ただ、前述のように現状のAndroid PayがサポートするHCEはNFC Payのみに対応しており、日本国内で利用可能な場所はApple Payの国内参入を経てもしばらくは非常に限定的となる。そのため、主に日本国内のユーザーが「海外旅行でのNFC決済」に活用することがメインになるだろう。

Android Payでは通知機能が搭載されており、同サービスを使える店舗が近くにあると通知がポップアップして利用者に知らせてくれる