Samsung Electronicsは31日(ドイツ時間)、ドイツ・ベルリンで開催されている家電の展示会「IFA 2016」において新型スマートウオッチ「Gear S3」を発表した。GPS、LTE、IP68防水、モバイル決済などの技術を搭載しつつ、通常の時計のようなデザインで、厚さは12.9ミリ。「frontier」と「classic」の2モデルで展開する。

Samsung Electronicsは、IFA 2016で「Gear S3」を発表した

「frontier」(左)と「classic」(右)の2モデルで展開

Gear S3は、2014年2月のMWCで発表した「Samsung Gear S2」の後継となるスマートウオッチ。S2に続いて、OSはSamsungが中心になって進めているオープンソースのモバイルOS「Tizen」をベースとした「Tizen Based Wearable Platform 2.3.2」を搭載する。発売は2016年内としている。

frontierとclassic共通のスペックとして、画面は1.3インチの円形でSuper AMOLEDディスプレイを採用、解像度は360×360、278ppi。Corning Gorilla Glass SR+でコーティングした。1.0GHz動作のExynosデュアルコアチップ、768MBのRAM、4GBの内部メモリを搭載した。バッテリーは380mAhで、ワイヤレス充電も可能。バッテリー持続時間は1回の充電で3日から4日だとしている。

機能面では、高度・気圧・速度・心拍数などの計測ができるほか、NFCとMST(Magnetic Secure Transmission)対応によりモバイル決済サービス「Samsung Pay」も利用できる。ユーザーはクレジットカードを事前登録しておけば、Gear S3で決済が可能だ。

モバイル決済サービス「Samsung Pay」が利用可能

防水機能は、Gear S2ではIPX7だったのがGear S3では「軍レベル」とうたうIP68に性能アップしている。サイズは46×49×12.9mmで、厚さはGear S2よりも2mm増した。

frontierはより高機能でアウトドア指向の外観をもつ。スペックもclassicより高く、nanoSIMを挿入できる(classicは非対応)。これにより、Bluetooth 4.2、Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n)、NFCなどに加えて、3GとLTEのセルラー通信もサポート。音声通話も可能だ。スペックが高い分、端末の重量がかさみ、ストラップなしでの重さはfrontierが62g、classicが57gとなっている。

「Gear S3 frontier」クリックで拡大

classicは、素材にステンレスを用い秒針画面など名前の通り伝統的なデザインを持つ。高級時計と同じような一貫性とバランスを維持するようディテールに細心の注意を払ったという。

操作性ではS2で導入したベゼル回転操作を強化し、画面にタッチすることなく電話の受信や拒否、アラームのスヌーズができるという。ディスプレイに手書きするとメッセージは自動的にテキスト変換されるほか、リマインダやTo-Doリストを作成できるRemindersアプリケーションも備える。

「Gear S3 classic」装着イメージ

スマートウオッチは爆発的な普及機には、いまだに入っておらず、ユーザー層はデバイス好きに限定されている印象がある。Samsungは、classicとfrontierの2モデルでさまざまな層にアピールする狙いだ。Samsungのモバイルコミュニケーションビジネス グローバルマーケティングとワイヤレスビジネス担当エグゼクティブバイスプレジデントのYounghee Lee氏は、「Gear S3でSamsungはGearコレクションを拡大し、優れたスマートウォッチだけではなく、時計としても優れたものを投入する」と述べている。